J&J、1.7兆円規模の和解案提示-ベビーパウダーによる卵巣がん訴訟
(ブルームバーグ): ヘルスケア製品最大手、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)はタルク(滑石)を使った同社のベビーパウダーが原因で卵巣がんを発症したとして集団訴訟を起こされている問題で、110億ドル(約1兆7400億円)での一括和解案を提示。昨年の提示額に21億ドル上乗せし、数千人もの原告に支持を求めた。
1日の発表によれば、J&Jは既存および将来の法的請求をすべて決着することを目指して子会社に3度目の破産法適用を申請させることに、原告の承諾を求めた。同社の子会社は過去に2度、連邦破産法11条の適用申請を試みたが、原告側は補償額が少なすぎるとして受け入れなかった。
1日のニューヨーク市場でJ&Jは上昇。通常取引前の現地時間午前9時15分現在、前日比3%上げている。前日までの1年間では12%近く下げていた。
J&Jが今回進めようとしているのは「プレパッケージ」破産と呼ばれる手法で、債権者から事前に十分な支持を取り付ければ破産法11条の適用プロセスをスピードアップできるもの。破産裁判所では集団訴訟の原告は無担保債権者とみなされる。J&Jが破産法裁判所の判事から承認を得るには、原告の75%から支持を取り付ける必要があると破産法11条は定めている。
この訴訟とは別に、同社はアスベストに汚染されたパウダーが中皮腫という別のがんを発症させたとして起こされた訴訟で、約95%のケースで和解に至った。また米各州が提起した消費者保護訴訟でも暫定合意に達したと発表した。
2月に提出された有価証券報告書によるとJ&Jは現在、ベビーパウダーや類似製品に使用されたタルクがさまざまな種類のがんを発症させたとして、6万件近くの訴訟を抱えている。この多くはニュージャージー州にある連邦裁判所判事の判断で集約され、公判前の情報交換が行われている。その他の訴訟は州裁判所で審理される。
原題:J&J Seeks Backing for $11 Billion Baby Powder Cancer Deal (2)(抜粋)
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Jef Feeley, Steven Church