時代をつくろうとは思っていなかった 小室哲哉「恵まれているとしか…」 描くこれから
デビュー40年を迎えた音楽ユニット「TM NETWORK」のリーダー、小室哲哉(65)。その楽曲をオーケストラとのコラボレーションで披露する「billboard classics ELECTRO produced by Tetsuya Komuro」が6月29日から始まるのを前に、産経新聞のインタビューに応じた。シンセサイザーの革新的なサウンドで一世を風靡し、1990年代にはプロデューサーとして音楽界を席巻した。一度は引退するも復帰し、映画の主題歌などを手掛ける挑戦と発見の日々が続く。「今でも、新しい作品が自分の中ではもっともいい出来」と進化を語り、音楽家としてのこれからについても思いを明らかにした。 【写真】「ごぶごぶフェスティバル」で29年ぶりに復活した「H Jungle with t」の浜田雅功と小室哲哉 ■初期の曲は「幼い、粗い」 約30年前、社会は「小室サウンド」に踊った。だが「『自分が時代をつくろう』とは、全く思っていませんでした」と振り返る。 当時作った楽曲は、ドラマの主題歌やテレビCMなどとのタイアップがほとんど。クライアントの意向に沿って作ると「世相を象徴する楽曲」となり、楽曲群を振り返ればその時代が浮かび上がるという。 作曲を専門的に学ぶことなく活動を始め、曲を作るたびに進化した。これまで手掛けた約1300曲のうち、最初の数百曲は「幼いし、粗いなぁと思います」。今のスキルで作り直すこともできるが、楽曲は「皆さんの思い出とともに記憶されているもの」。当時のままにしておく方がいいと考えている。 ■思い出壊さない「Get Wild」 最近は「良いところは生かしつつ、現代の音にする手法もある」という新たな発見もあった。 アニメ「シティーハンター」のエンディング曲としてヒットした「TM NETWORK」の「Get Wild」(昭和62年)。4月から動画配信サービス「ネットフリックス」で独占配信されている、鈴木亮平主演の同名の実写映画でも使われることになり、新たなアレンジで新録した。 映画やミュージックビデオ(MV)などの映像作品の場合、古い音源では現代の映像テクノロジーにはまらないのだという。新旧2つの「Get Wild」のMVを比べると、音と映像の緻密さの違いは明らか。それでいて「皆さんの思い出を壊さない作り方ができた」と手応えを語る。