ANA、787-10国内線2号機が就航 初便は羽田-福岡
全日本空輸(ANA/NH)の次世代国内線フラッグシップであるボーイング787-10型機の2号機(登録記号JA983A)が3月30日、就航した。初便は羽田発福岡行きNH245便となり、羽田を定刻より19分遅れの午前9時59分に出発し、福岡には午前11時14分に到着した。 【写真】ANA 787-10国内線2号機の機内と外観 2号機は、現地時間21日午後3時25分にボーイングの最終組立工場がある米サウスカロライナ州のノースチャールストンを羽田行きNH9397便として出発。羽田には24日午後9時5分に到着し、翌25日に報道公開された。20日に到着した初号機(JA981A)は、27日の就航に向けて準備作業に入っていたことから、2号機がお披露目用の機材となった。 30日に就航した2号機は、初便の羽田発福岡行きNH245便を運航後、折り返しの羽田行きNH250便として福岡を午後0時7分(定刻午前11時45分)に出発し、午後1時48分(同午後1時25分)に到着した。 座席数は2クラス429席で、プレミアムクラス28席、普通席401席。1998年に就航し、退役が始まっているANAの国内線最大の機材である777-300の2クラス514席(プレミアム21席、普通席493席)に次ぐ座席数を誇る。ANAでは、400席クラスの777-200/-200ER(2クラス405席、新仕様は同392席)に加え、現在の国内線フラッグシップである500席クラスの777-300も次世代旗艦機の787-10で置き換え、大型機による運航便の低騒音、省燃費化を進める。 ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、787-10の国内線仕様機を11機発注済みで、2026年度までに受領する計画。同時発注で、ANAの787では初めてエンジンにGE製GEnx-1Bを選定した787-9の国内線新仕様機とシートも同じものを採用しており、787-10は普通席が54席増える以外はほぼ共通の機材となる。 プレミアムクラスは、サフラン・シート・US(旧ゾディアック・シート・US)製シートを採用し、座席配列は2-2-2席の1列6席。表面を現行の革張りから布地に変更することで、滑りにくくした。個人用モニターは、ANAの国内線用中大型機では最大クラスとなる15.6インチのタッチパネル式のものを採用している。 普通席は、自動車用シートを手掛けるトヨタ紡織製で、座席配列は3-3-3席の1列9席。個人用モニターは777用の11.6よりも大型化し、国内線普通席最大となる13.3インチ(最前列は10.1インチ)の薄型タイプを採用した。 ANAは787-10を羽田発着の札幌(新千歳)、伊丹、関西、福岡、那覇の国内幹線5路線に順次投入する。27日に札幌と関西、28日に伊丹、29日に福岡へ就航しており、残るは那覇となった。当初は27日に羽田-札幌線を1往復後、那覇、関西、福岡、伊丹の順に投入予定だったが、機材繰りの関係で各地への就航が前倒しになった。 787は標準型の787-8、長胴型の787-9、超長胴型の787-10の3機種で構成され、787-10は胴体がもっとも長い。全長は787-8(56.7メートル)と比べて11.6メートル、787-9(62.8メートル)より5.5メートル長い68.3メートルで、置き換え対象となる777-200/-200ERよりも4.3メートル長い。787のローンチカスタマーであるANAは、3機種すべてを運航している。 ANAは787-10の国際線仕様機(3クラス294席)を3機導入済みで、初便の成田発シンガポール行きNH801便(JA900A)は2019年4月26日に就航。日本初の787-10で、エンジンはロールス・ロイス製エンジンのトレント1000を搭載し、東南アジア路線を中心に投入している。
Tadayuki YOSHIKAWA