歴史的な円安局面は「終了」か?テクニカル分析で検証【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
※本稿は、チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。
●相場のトレンド転換をみるパラボリックでは、11月17日に円高方向へのトレンド転換が示唆された。 ●また一目均衡表でも三役逆転という、非常に強いドル売りシグナルが点灯する流れになりつつある。 ●ただ歴史的な円安局面の終了はまだ初期の段階で、目先のドル円の動きが重要な要素となろう。
相場のトレンド転換をみるパラボリックでは、11月17日に円高方向へのトレンド転換が示唆された
ドル円は11月13日、1ドル=151円91銭水準をつけたあと、米長期金利の低下などを背景に、ドル売り・円買いが進み、11月21日には一時147円台15銭水準と、およそ2ヵ月ぶりのドル安・円高レベルに達しました。市場では、米国の利上げと日本の異次元緩和がともに終了することで日米金利差は縮小に向かい、歴史的な円安局面は終了するとの声も、多く聞かれるようになりました。 そこで、今回のレポートでは、この歴史的な円安局面は終了したのか、テクニカル分析を用いて検証してみます。まず、相場のトレンド転換点をはかる「パラボリック」からみていきます。パラボリックでは、ドル円の日足がSAR(ストップ・アンド・リバース)に接した時点でトレンド転換と判断されます。直近、ドル高・円安局面にあったドル円は、11月17日に日足がSARに接し、ドル安・円高へのトレンド転換が示唆されました(図表1)。
また一目均衡表でも三役逆転という、非常に強いドル売りシグナルが点灯する流れになりつつある
次に、「一目均衡表」を確認します。一目均衡表は、「転換線」、「基準線」、「先行スパン1」、「先行スパン2」、「遅行線」という5つの線で構成されます。これら5つの線と日足の位置関係が重要で、例えば、(1)転換線が基準線を上抜けている、(2)遅行線が日足を上抜けている、(3)日足が雲(先行スパン1と先行スパン2に挟まれた領域)を上抜けている、という3つの条件がそろうと、「三役好転」という、非常に強い買いシグナルと解釈されます。 反対に、3つともすべて下抜けとなってしまうと、「三役逆転」という、非常に強い売りシグナルと判断されます。そこで、実際にドル円の一目均衡表をみてみると、直近では、転換線が低下して基準線と重なり(下抜けの1歩手前)、遅行線は日足を下抜け、日足は雲の中まで下がってきています(図表2)。この先、転換線が基準線を下抜け、日足も雲を下抜けると、3つの条件がそろって三役逆転となり、非常に強いドル売りシグナルとなります。
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