【インタビュー】JO1の川西拓実が映画初主演。個人活動を経験して得た成長は?
撮影やYaffleさんとの交流で、音楽の固定概念が変わった
──本作には、藤井風やiri、SIRUPなどのプロデュースを手がけるYaffleさんが、ミュージックコンセプトデザインとして参加しています。現場ではどんな交流がありましたか。 「演奏中の清澄の顔の動きや、演奏の仕方など、細かいところまでご指導いただきました。それから、個人的にもアドバイスをたくさんいただいたんです。Yaffleさんの楽曲は、今、世界中の人に受け入れられていますよね。そんなYaffleさんの頭の中には、きっと僕が思いつかないようなアイデアがたくさん詰まっているはずなので、それが知りたくて色々なお話を伺いました」 ──例えばどんな話を? 「僕が今、使っている音楽制作ソフトのことだったり、Yaffleさんの楽曲に対するこだわりだったり。どんな質問にも丁寧に答えてくださって、そういう温かい人柄がYaffleさんの音楽にもつながっているんだなと感じたし、清澄としても僕個人としてもとても勉強になりました」 ──川西さんご自身も開催中の展覧会「JO1 Exhibition “JO1 in Wonderland!”」のテーマソング『HAPPY UNBIRTHDAY』を作詞作曲したりと、JO1でも楽曲制作を行っていますが、この作品で清澄を演じることで、音楽への向き合い方に変化はありましたか。 「劇中に、海や風の音、 鳥の声をフィールドレコーディングするシーンがあるんですけど、それってどういうことなのか自分なりに少し調べてみたんです。すると、自然の音は人間の耳にとって心地のいい周波数で、それが本来、人間が聴くべき音らしいんですね。それを知って、自分の中の常識が変わったというか、音楽への新しい視点に気付くことができました。この作品を通して、音楽には正解はないんだということも強く感じました。自分が鳴らしたい音や伝えたいことを、そのまま歌やメロディーに乗せていいんだなって」 ──忙しいスケジュールの中で、いつ音楽制作の時間を取っているのでしょうか。 「基本的に夜です。仕事を終えて家に帰ってきたら、まず一旦パソコンの前に座ります。キーボードを弾いてみたり音を探したり。どんなに忙しくても、パソコンを開くようにしています。ただ、それは『曲を作るぞ』と意気込んでそうしているというよりも、ほとんど遊びのような感覚でもあるんです」 ──3ピースバンドとしてライブをするシーンもありましたね。 「そこは、僕にとっては最後の撮影シーンだったんですね。実際にキーボードを演奏しながら歌っているところを撮影したんですが、ベースの陸(栁俊太郎)やドラムの岬(円井わん)と目が合うたびに、泣いちゃいそうで。楽しかった撮影の日々を思い出して、涙が溢れそうなのを必死で堪えていたんです。試写で観たら、我慢している表情がそのまま映っていました(笑)。でもそれが逆に良かったと気に入っています。すごく楽しいライブでした」 ──もしかして、今後、JO1のライブでもバンドに挑戦したり? 「いやー(笑)、演奏しながら歌うのはやっぱり大変でした。元々楽器が上手いわけじゃないので、演奏と同時に歌うのは本当に難しくて。もしやるとしたら、入念に準備した上で、JAMの皆さんに披露できたらなと思います」 ──今作の主題歌『surge』は、清澄 by Takumi Kawanishi(JO1)として、ソロの楽曲になりますね。 「いしわたり淳治さんの歌詞も、Yaffleさんの曲もすごく良くて、今の言葉で表現すると、すごく“エモい”曲です。この映画の世界観を伝えるためにも、清澄として歌うことを意識しました。歌い方もこだわって、合計で10時間を越えるくらいレコーディングにも時間をかけました。JO1よりスローな曲調なので、いつもより喉を使うんです。やっぱり1人は大変だなと思いました」 ──今回、個人での活動を経験して、改めて11人の良さを感じることは? 「やっぱりグループに戻ると落ち着きますね。僕らは11人いるから、11通りの考え方があって、みんなで話し合いするといろんな意見が出るんですよ。自分が思いつかない考え方や方法に気付かせてくれるんです。それがグループの良さだと思います。それに、今回の映画や楽曲制作などの個人活動も、もちろん自分のためでもあるけれど、一番はグループのため。経験したことをグループに持ち帰って、JO1のためになればという気持ちを忘れずにいようと思っています」 Photos: kisimari Styling: Ryosuke Saito Hair & Makeup: Sayuri Nishio Interview & Text: Miho Matsuda Edit: Yukiko Shinto