盗塁において広瀬さんと福本は別格だ。山田哲にはさらに上を目指してほしい【張本勲の喝!!】
広瀬さんと福本は足の三拍子がそろっていた
山田哲の盗塁における観察眼は本物だ
4度目のトリプルスリーという素晴らしい偉業の可能性があったヤクルトの山田哲人だが、打率が3割に届かず達成はならなかった。これまでに3度も3割30本30盗塁をクリアしてきたのは大したものだが、今季の2割7分そこそこの打率は主力打者として失格だ。ホームランも今の打高投低の時代では40本打ってようやく一流と言える。35本ではほめられないし、本人にとっても不本意な1年だっただろう。 しかし、開幕から33連続で盗塁を成功させたのは立派なものだった。昨季からは38連続成功だという。ただ足が速いだけではなく、相手ピッチャーのクセやタイミング、キャッチャーの肩などを見極める観察眼がよほど優れているのだろう。だから素晴らしいスタートが切れる。 それでも山田哲は結果的に33盗塁しかしていない。盗塁王もセが阪神・近本光司の36盗塁、パが西武・金子侑司の41盗塁というのはあまりに少ない。かつては50盗塁以上する選手はざらにいた。私がプロ入り当時の日本記録は、入団前ではあるが阪急の河野旭輝さんだ。1956年に85盗塁を記録し、のちに中日でも盗塁王を獲得してセ・パ両リーグで盗塁王となったが、私が見たのは少し脚力が衰えてからだと思う。 私が実際に見た中では、やはり南海の広瀬叔功さんと阪急の福本豊の2人が別格となる。この2人はすごかった。今の選手とは比較のしようもないほどだ。 まず、とにかく・・・
本文:2,638文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
週刊ベースボール