レバノン南部の民家にイスラエルの空爆、子供ら19人死亡と地元当局
レバノン南部の地元当局者は23日、民家がイスラエル軍の空爆を受け、女性6人と子供5人を含む少なくとも19人が殺害されたと述べた。 地元当局のスアド・ハムード氏がBBCに語ったところでは、ティファフタ村の3階建ての建物が爆撃され、そこで暮らしていた元学校長のアフメド・エゼディーン氏とその家族3世代などが死亡した。 空爆時にエゼディーン氏の自宅近くを歩いていた同村のイマーム(イスラム指導者)、アブド・アボ・レイヤ氏ら通行人3人も死亡したという。 イスラエル軍はこの事案についてコメントしていない。同軍はこれまで、民間人への危害を軽減するための措置を取っていると繰り返している。 この4週間、イスラエルはレバノン全域に数千回の空爆を実施。武装組織ヒズボラの工作員やインフラ、武器が標的だとしている。 ■何があったのか 地元当局のハムード氏によると、ティファフタ村への空爆は、21日の隣村マルワニーでのイスラエルの空爆で死亡したエゼディーン氏のいとこで義理の兄弟ホドル氏の葬儀を終えた後にあった。 レバノン国営通信社NNAは、弔問客が集まる通夜が空爆の標的になったと報じたが、それは誤りだとハムード氏は述べた。 「そこにいたのは、その住宅の住民だけだった。彼らは葬儀を終えて戻って来た。見知らぬ人はそこにはいなかった」 「弔問客が直接哀悼の意を伝えることができない状況であることを、みんなわかっている。だからこの村ではもう、通夜は行われていない」 エゼディーン氏の自宅には妻やきょうだい、娘、義理の娘、義理の息子、孫たちもいたと、ハムード氏は述べた。 エゼディーン氏は自宅1階で、同氏の子供とその家族は上階で暮らしていた。しかし、自宅が攻撃を受けた時は全員が1階にいたとみられている。 ソーシャルメディアに投稿された動画には、空爆後間もなく、エゼディーン氏の自宅がある丘の方から巨大な煙が立ち上る様子が映っていた。 レバノンのテレビ局は23日朝、空爆を受けた建物のがれきや、上階部分に使われていたねじれた金属の山を放送した。 レバノン保健省はこの空爆による死者数を報告していないが、ハムード氏と、ティファフタ村のフェイスブックのコミュニティーアカウントは、19人が死亡したとしている。 このフェイスブックのアカウントは、死亡した子供5人と女性6人の名前を掲載している。 ハムード氏によると、アボ・レイヤ氏は空爆時にエゼディーン氏の自宅近くを歩いていた。 「村の家々は離れているわけではなく、互いに非常に近い距離にある」と、ハムード氏は述べた。フェイスブックのアカウントに死者として名前が掲載された男性2人については、爆発で死亡した通行人である可能性が高いと付け加えた。 アボ・レイヤ氏の親族はBBCに対し、葬儀終了から約15分後の午後5時10分ごろに空爆があったと語った。 空爆を受けた住宅は「跡形もなく破壊された」とし、標的はアボ・レイヤ氏ではなかったと主張した。 「彼はあの家の前を通りがかっただけだ。家の中にいたわけではない。仲間と一緒にモスクへ行く途中だった。礼拝に行くはずだった」 「イマームは丘を下ろうとしていたところを爆風で吹き飛ばされた。即死ではなかった。けがをして、5時間後に病院で亡くなった」 ■先週も住居に空爆、国連が懸念表明 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は先週、レバノン北部の町アイトゥで、4階建ての住居ビルがイスラエルの空爆を受け、女性12人と子供2人を含む23人が死亡したとの報告を受けた。 OHCHRはこの攻撃に関する調査を求め、区別の原則と均衡性の原則を含む国際人道法の面から懸念を表明した。 イスラエル軍は「ヒズボラのテロ組織に属する標的を攻撃した」としている。 イスラエルとレバノンのヒズボラは、パレスチナのガザ地区で戦争が起きたのをきっかけに、境界線を挟んだ敵対行動を1年近く続けてきた。イスラエルは、ヒズボラのロケット弾などから身を守るために避難している境界線地帯のイスラエル住民を安全に家に帰らせるとして、9月末に対ヒズボラ地上作戦を開始した。 ガザ地区のイスラム組織ハマスがイスラエル南部を襲撃した翌日の昨年10月8日から、ヒズボラはハマスを支援するとして、イスラエル北部にロケット弾を発射し始めた。 レバノン保健省によると、同国ではこれまでに2500人以上が殺されており、そのうち1900人は直近5週間で死亡している。イスラエル当局は、イスラエル北部と占領下のゴラン高原で59人が殺されたと発表している。 (英語記事 Lebanon local official says 19 killed in Israeli strike on family's home)
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