超音波内視鏡で膵臓がんの有無を精密検査する広島大病院の医師（同病院提供）

　膵臓（すいぞう）がんを早期に発見し、治療につなげる広島大や広島県などでつくる協議会のプロジェクトが2022年9月の開始から2年となった。582例の膵臓がんを発見したほか、早期発見のためには糖尿病への注目が重要であることも分かってきており、協議会は継続して分析を進める。 【図解】膵臓がん早期発見プロジェクトの仕組み 　プロジェクトは患者の膵臓がんの可能性を示す危険因子をかかりつけ医たちが見つけ、地域の中核病院の専門医と情報共有。精密検査や治療につなげる。広島大が県内20カ所の中核病院に専門医を配置している。 　かかりつけ医は「家族に膵臓がん患者がいる」「糖尿病の発症や症状の悪化」など9項目の危険因子に1～3項目以上当てはまる患者を抽出。専門医が今年4月までに3893例を検査し、582例が膵臓がんだった。 　血糖値を下げるインスリンが膵臓から十分に分泌されないことで発症する糖尿病の症状や病状の悪化を注視することが、早期発見につながる「最も有用な因子」とみられることも判明した。 　膵臓の疾患は自覚症状が出にくく、治療が遅れる場合が多いとされる。582例のがんの進行度は、手術可能なステージ2までの割合が4割を占めた。協議会は28年12月までプロジェクトを続けて症例数を増やし、早期発見と生存率の関係も分析する。 　プロジェクトリーダーの広島大大学院医系科学研究科の岡志郎教授（消化器内科）は「細かく分析を進め、膵臓がんの早期発見の意義を伝えたい」としている。