スギ薬局で「糖尿病薬混入」の調剤ミス、74歳女性が半年後に死亡…遺族が3850万円賠償求め提訴
⚫︎長男の無念「薬を飲まなければ亡くなることはなかった」
提訴後の記者会見で、田村さんの長男は「母が亡くなったことに関しては、無念の一言に尽きます。スギ薬局の薬を飲まなければ亡くなることはありませんでした」とつらい心持ちを語った。 当時はコロナ禍にあり、遺族はこれまで元気に会話をしていた女性といきなり会えなくなり、面会できないまま最期を迎えたという。 田村さんが意識を失った2日後の11月17日、長男はスギ薬局の担当者から電話で、調剤過誤の事実を伝えられたという。 謝罪したいとも伝えられたが、その後の会社側とのやりとりの中で、遺族側の希望に沿われるかたちでの謝罪は断られたのだという。 公での謝罪を望んでいた遺族に対して、スギ薬局側は保険での賠償には応じ、自社公式サイトで公表するといった対応の方針を示したとしている。 長男によると、女性が亡くなって1年近く経って、スギ薬局の副社長から、健康を害したことについて「申し訳ありません」と書かれた書面が送られてきたという。長男は「母が死んだことについて謝罪することを避け、できる限りの責任逃れをしていると思いました」と憤る。 民事訴訟だけでなく、警視庁に業務上過失致死罪で刑事告訴もしており、すでに警察の捜査は終わっているという。
⚫︎【声明全文】スギホールディングスは謝罪も、調剤過誤と死亡の因果関係は認めず
今回の提訴を受け、弁護士ドットコムニュースの取材に、スギホールディングスは、調剤過誤の事実を認め、「亡くなられた患者様のご冥福をお祈りします。ご遺族様にも深くお詫び申し上げます」と謝罪した。 一方で、調剤過誤と、その後の体調急変や死亡との因果関係については認めなかった。「亡くなられたことは認識しておりますが、因果関係については民事訴訟を含めてご遺族様に引き続き誠実に対応していきたい」(スギホールディングス) また、スギホールディングスは8月28日、公式サイトに「調剤過誤事案に関する民事訴訟の提起につきまして」と題する声明を出した。 ⚫︎スギホールディングスの声明全文 この度、弊社子会社のスギ薬局店舗において2021年10月に発生した調剤過誤事案(以下「本件」といいます。)に関する民事訴訟が提起されました。弊社といたしましては、誠実に対応してまいります。 本件は、誤調剤によるお薬を患者様が服用され、2022年5月にご逝去されたものです。スギ薬局グループとして、亡くなられた患者様のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、患者様のご家族様には、深くお詫び申し上げます。また、関係者の皆様にも多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。 調剤過誤事案の発生以降、速やかに調剤薬鑑査の指導を全店に再徹底するとともに、調剤室の環境整備、マニュアル遵守の再徹底、倫理・コンプライアンスに関する再教育に取り組み、再発防止に向けて取り組んでまいりました。 今後につきましても、調剤過誤を発生させることのないよう店舗管理を徹底し、引き続き再発防止に向けて取り組んでまいります。 患者様のご家族様、関係者の皆様に重ねて心よりお詫び申し上げます。