【首都大学リポート】入れ替え戦で好打を見せた武蔵大・岩田侑真 心掛けているのは「センター返し」
先制犠飛にチャンスメーク
【11月9日】首都大学一部二部入れ替え戦 武蔵大6-3桜美林大(武蔵大1勝) 首都大学リーグ入れ替え戦1日目。今秋、一部6位だった桜美林大と二部優勝を果たした武蔵大による1回戦。大事な初戦を制したのは武蔵大だった。 この試合で2安打2打点の活躍をしたのが岩田侑真(3年・日大二高)だった。初回、一死三塁のチャンスで打席に立つと「あの場面ではヒットよりも、まずはランナーを返すことを考えていました」とレフトへ先制の犠牲フライ。3回裏の第2打席も一死二、三塁から「三塁走者の茂木陸さん(4年・星槎国際湘南高)は足が速いので内野へゴロを打てば1点が入ると思い、とにかく前へ飛ばすことだけを考えていました」と狙い通りにサードへゴロを転がし、追加点を挙げた。さらに、「今日は甘い球をどんどん振っていこうと思っていたのですが、二塁打は甘い真っすぐかカットボールでした」と第3打席は左中間を深々と破るツーベース。第4打席もレフトへヒットを放ってみせた。山口亮監督も「この試合では先制の犠飛にチャンスメークと、よくやってくれました」と手放しでほめたたえている。 岩田の活躍もあり、武蔵大は13安打で6得点。先発の小林匠が(3年・星槎国際湘南高)が肩の不調で途中降板するアクシデントがあったが、増尾己波(2年・関東第一高)と長濱諒(3年・沖縄尚学高)の本塁打で追いすがる桜美林大を6対3で下して先勝。岩田は「チームで『1戦目を取れたら流れに乗っていける』と話していたので集中していました。昨年の春に二部へ降格してから、入れ替え戦で勝って昇格することをずっと目標にしてやってきたのでうれしいです」と会心の勝利に笑顔を見せた。
すり足で高めた確実性
岩田は1年秋にリーグ戦デビュー。2年春には規定打席に到達し、強打の右打者として中軸を務めてきた。今秋は日本ウェルネス大戦で先制の適時三塁打と二塁打を放つ活躍を見せて勝利に貢献するなど、二部リーグで7位の打率.355(31打数11安打)をマークした。 「今季からはシーズン中もウエート・トレーニングをやっていて、普段は少し筋肉痛が体に残っている状態でバッティングをしているのですが、試合の前日でもウエート・トレーニングをすることで練習と同じ感覚で打つことができています。そして、3年生の秋を迎えて『自分が打たなきゃいけない』という責任感が芽生えてきましたし、今季は流すことは考えずに、センター返しだけを心掛けているのが好調の理由だと思います」 フォームについては「2年ほど前から足を上げるのではなく、すり足で打つようにしてタイミングを取っています」と確実性を高めてきている。守備については今春の最優秀選手(二部)だった江波戸駿(4年・専大松戸高)が正捕手を務めているため、捕手から一塁手へコンバートされた。 「まだ1年ほどしか経験がないので、まだまだなんですが、前に止めればアウトにできるのでなんとかやっています。ファーストを守るようになって体は楽になりましたが、キャッチャーは配球を組み立てて自分で試合を作ることができるので、できれば来年には戻りたいです」とこの冬のオフシーズンは捕手に復帰するため、山口監督にアピールをしていくことになりそうだ。 一部でマスクをかぶるには、まず目の前の入れ替え戦に勝つことが必須。「自分が入学した時の武蔵大は一部で優勝争いをしていましたが、一つ下の学年は入った時からずっと二部で戦っているので、4年生の先輩たちが残っている間に昇格して後輩たちにも一部を経験させてあげたいんです。入れ替え戦2回戦も難しい試合になると思いますが気持ちで負けることなく、ガツガツと勢いに乗って勝ちにいきたいです」 頼もしい先輩と一部の舞台を知らない後輩のために、白星をもう一つ重ねて一部昇格を果たしたい。 文=大平明
週刊ベースボール