相次ぐブランド米デビュー 自治体が高価格帯の米販売に力を注ぐのはなぜ?
24日、コシヒカリ誕生の地、福井県がポストコシヒカリとして売り出す新ブランド米「いちほまれ」のロゴとパッケージがお披露目されました。「いちほまれ」は今秋首都圏で初の販売となりますが、本格的に市場に出回るのは2018年来秋です。 「いちほまれ」以外にも、ことしは自治体が、来秋に本格売り出しを予定するブランド米の新名称とロゴ・パッケージの発表が相次ぎました。また、一足早く今秋から、米どころ新潟県の「新之助」、昨年に続き新ブランド投入となった岩手県の「金色の風」が一般販売となります。 なぜ、いま自治体の新ブランド米発売が相次いでいるのでしょうか?
1月から相次いだ華々しい新ブランド米の名称発表
24日都内で開かれた「いちほまれ」ロゴ・パッケージ発表会。西川一誠・福井県知事のほか福井県出身の人気モデル道端アンジェリカさんも登壇し、「日本“一”おいしい、誉れ高きお米」と華々しくPRしました。 「いちほまれ」は4月に名称を発表して以来、同日ホームページを立ち上げ、開発ストーリーや生産の様子をライブカメラで見ることができるようにするなど、順次情報を発信してきました。今秋の首都圏と地元での販売、来秋の本格販売に向け、少しでも知名度を広げようと必死です。 懸命な売り出しの背景にはこの秋から来年にかけて、各自治体が約10年の月日を費やし開発した「おいしい」「プレミアム」米が次々販売されることがあります。ことし1月、宮城県の「だて正夢」を皮切りに、2月に山形県「雪若丸」、3月に富山県「富富富(ふふふ)」、4月の福井県「いちほまれ」といった来秋本格デビューのプレミアム米名称発表が続きました。
高温に弱いコシヒカリ 最新バイオ技術でポストコシヒカリを開発
各地で新しい米開発が続いた大きな理由のひとつが、コシヒカリの品質劣化です。福井県で1956年誕生したコシヒカリはその後、新潟県で奨励品種となり、現在は全国作付割合36.4%(米穀安定供給確保支援機構「平成26年産 水稲の品種別作付動向について」より)を占め、79年から作付面積1位の座を守り続ける、まさに日本を代表する米です。 しかし、コシヒカリは倒伏しやすいといった育てにくさと、猛暑に弱く、近年の夏から秋にかけての高温が、コシヒカリ最大の武器である味を落とし、やがて評価を下げるのではという危機感が、コシヒカリを主力の米として育てている自治体にありました。 そこで、魚沼産などコシヒカリをトップブランドとして売り出すことに成功した新潟県や種もみ出荷量日本一の富山県、コシヒカリ生みの親、福井県などでそれぞれ威信をかけた「ポストコシヒカリ」開発を展開。最新のバイオ技術も駆使し、高温に強く、低農薬で育てやすく、味もよし、という新主力米発表にこぎつけました。