管理職は“罰ゲーム”なのか? 「負担激増 & 旨みなし」は改善できる?
会社員の出世の先にある管理職がまるで罰ゲームのように厳しいものになっているという。嬉しい出世の反面で負担が増える管理職の問題を組織としてどう解決していくべきか考えた。 【映像】管理職=“罰ゲーム”と一目でわかる「表」 管理職の現状について分析したパーソル総合研究所 上席主任研究員 小林祐児氏は「90年代・バブル崩壊以降、日本企業は階層を少なくして管理職ポストを減らすという『組織のフラット化』を実行。これによって現場の仕事を継続しつつマネジメントも行う『プレイングマネージャー』が増えた。加えて、職場の中に非正規雇用、パートアルバイト、シニア、女性、外国人と様々な属性が入り乱れて働く『ダイバーシティ化』が進み、マネジメントの難度を上げている」と説明した。 働き方改革で社員の労働時間を短くする流れはあるものの、管理職は蚊帳の外。一方で、労働基準法における「管理監督者」となれば、それまでもらえていた残業代がもらえなくなるケースもあり、責任と仕事量に収入が見合わないと感じる人も多くいるのが現状だ。 そして近年、管理職に重くのしかかっているのが、部下のメンタルに対する配慮だ。 小林氏は「労災の相談件数も如実に上がってきている。少しでも叱咤激励が行き過ぎるとメンタルヘルス問題につながってしまうため、多くの管理職はコミュニケーション自体を希薄化させている。しかし、結果的に信頼関係が築けず、マネジメント自体を難しくしてしまい、管理職の負荷が上がってしまう」と指摘した。
そんな“罰ゲーム化”に歯止めがかからない背景には、日本の企業文化があると小林氏は指摘する。 「まず、日本は管理職になるのが遅い。課長に昇進する年齢が40手前ぐらい、部長昇進が45歳前後。これは中国と比べると10年ほど遅い。16年以上経ってようやく課長、20年以上経ってようやく部長、では遠すぎるため、若手としても『管理職を目指そう!』というような求心力が下がってしまう」 組織の高齢化に伴い、昇進がさらに遅くなっている傾向がみられるという。社内での昇進を目指さず、副業や転職といったキャリアを選ぶ流れが加速する中、管理職の負担を減らす改革が組織には求められていると小林氏は話す。