桂由美さん、血書の特攻志願も 激動下で求めた「女性の晴れ着」は平和の象徴
ブライダルデザインの第一人者として世界的に活躍したファッションデザイナーの桂由美(かつら・ゆみ、本名・結城由美=ゆうき・ゆみ)さんが26日、死去した。94歳だった。 まさに激動の時代を生き抜いた桂さん。生まれた1932年は、当時首相だった犬養毅が陸海軍青年将校らによって暗殺される「5・15事件」が起きた年。真珠湾攻撃、東京大空襲…。戦時中、桂さんは中学生。晩年は、若い世代に向けて平和の尊さについて語ることも少なくなかった。 愛国心の強かった少女時代。そのころから、自らの意志で決めたことを実際に行動に移す子どもだった。海軍省(当時)に、血書を送ったこともあったという。それは自身の手を傷つけて流した血で書かれたものだった。どうして女は特攻隊に入れないのか。自分も特攻機に乗せてほしい、という特攻志願を“直訴”するような内容だった。 女性が人生で最も輝く晴れ着、ウェディングドレス。桂さんは70万人を超える女性をハッピーにしたと伝えられる。しかし、その源泉にあるのは人生の節目のドレスは平和の中でこそ身にまとうことができ、幸福を感じられるもの、という願いだった。
報知新聞社