三世代誰もが楽しめる「フリーでボーダーレス」な音楽フェス「日比谷音楽祭2024」に障がい者の才能を活かしたボーダーレスな就労を目指す三重県・東員町のブースが出展
日本の野外コンサートの歴史をつくってきた音楽の聖地「日比谷野外音楽堂」を擁する日比谷公園で、誰もが楽しめる「フリーでボーダーレス」な音楽イベントを目指して、2019年より毎年開催されている「日比谷音楽祭」。 【写真】東員町を走る「マッチ箱電車」とも呼ばれる人気ローカル線の三岐鉄道北勢線が有名 音楽プロデューサー亀田誠治さんが実行委員長を務める本フェスは、これまで布袋寅泰さん、B’z、GLAY、DREAMS COME TRUE、KREVA、SKY-HI、山本彩さん、石川さゆりさんをはじめ幅広いジャンルのアーティストが数多く出演し、さらにそのステージを無料で楽しめるというスペシャルな音楽フェスだ。 今年(2024年)もこのスペシャルな音楽フェス「日比谷音楽祭2024」が6月8日(土)、9日(日)に日比谷公園で開催される。 音楽文化がより豊かになり、音楽が人々の暮らしに自然に根をはり、日々を豊かにする――。そんな想いを込め、「音楽の新しい循環」をつくっていくきっかけとなることを目指して設立された本フェス。そんなフェスの出展ブースも飲食をはじめ、楽器販売やSDGsをテーマにしたブースなど幅広いジャンルのブースが“ボーダーレス”に立ち並ぶ。 そんなブースの中に、昨年から、全国の“働いて生きている”をテーマに障がい者の就労に関わる情報を提供しているポータルサイト「障⇔障継承プログラム」が、障がい者の才能を活かした“ボーダーレスな就労”に力を入れている町と組んで“多様性は可能性”をテーマにブースを昨年から出展している。昨年は、同じく障がい者就労に力を入れている北海道の芽室町と組んで出展。 農福連携の野菜や、その野菜を使ったカレー、障がい者によるアート作品などの販売などをして好評を博していた。 ■“ちょこっと田舎・ちょこっと都会”。“まちの幸福度ランキング東海版”で1位を獲得した東員町が目指す、“障がいがあっても暮らしやすいまちづくり” 今年は、「日比谷音楽祭2024」開催当日、6月8日(土)・6月9日(日)に、三重県東員町と組んで「障がい者就労のまち 三重県東員町with障⇔障継承プログラム」として日比谷公園・草地広場にブースを出展する。 三重県東員町では、障がい者が地域で安心して生活していくため就労の場の拡充と農業分野での担い手の高齢化と耕作放棄地への対策として、当時の三重県知事・鈴木英敬さん立会いのもとシグマホールディングス株式会社と平成27年に「農業」と「福祉」の連携協定を締結。今年は10年目の節目となり、事業の拡大やふるさと納税などの全国展開を考えていたところだという。そこで「日比谷音楽祭」という「フリーでボーダーレスな音楽祭」の“誰に対しても開かれた音楽イベントを目指す”というコンセプトが東員町の目指す“障がいのあるなしに関わらず、すべての人が当たり前に働けるまちを”という理念につながると感じ、全国の行政や事業所の方にも知ってもらいたい、という想いのもと、今回、障がい者就労に力を入れている関連企業とともに出展することになった。 もともと東員町は自然豊かで名古屋まで高速バスで50分という立地ゆえに都心にもほど近く、“まちの幸福度ランキング東海版”で1位を獲得している町。そこで、町の総合計画として掲げている“みんなが活躍できる地域社会をつくるために”の主旨のもと“障がいの有無に関わらずすべての人に暮らしやすいまちづくり”を目指している。 東員町役場地域福祉課主査の廣田千恵(ひろた・ちえ)さんはこう語る。 「正直、最初は何をすればいいのか、もがきながら動いた1年でした。ただ、実際に自分たちの職場にも障がい者の方々に就労いただき、一緒に働いているうちに、自分のなかでの意識が『障がい者就労』はすべての人にも同じことがいえるのではないかと気がついたのです。その人が“できないこと”に目を向けるのではなく、“できること”に目を向けて働いていただく。そうするだけで、障がい者の方々の持つ才能に気がついたんですよね。そんな職場で障がい者を受け入れて、その働きを見て、職場での“障がい者に対する壁”がどんどんなくなっていきました」 現在、東員町では、障がいのある方が、社会へはばたくきっかけをつかんでもらうことを目的として、就労継続支援A型事業所シグマファームとういんでは、玉ねぎ・ぶどう・三重県特産のなばな・マスタードシードなどの栽培(マスタードシードは愛知県の株式会社美ノ久と組み、「倭からし」などのからし製品に加工)。また、株式会社浜乙女では海苔・ふりかけなどの製造販売や有限会社廣嶋製作所では金属の切削加工など、障がい者就労に力を入れている。こういった障がい者就労について、廣嶋製作所の廣嶋清和社長は「障がい者の長期間の雇用には本人だけでなく保護者と企業の連携が重要」と語る。 さらに令和5年度からは、住民へのセミナーや就労体験を通して、働く障がい者を知ってもらう取り組みを実施している。 ■日比谷音楽祭2024のステージとともに、農福連携の新鮮な野菜、その野菜を使ったベーグル、コーヒーを楽しみながら東員町が取り組む“障がい者が当たり前に働けるまちづくり”を体感してほしい そんな東員町の出展ブース「障がい者就労のまち 三重県東員町with障⇔障継承プログラム」では、角川クラフトなど障がい者雇用関連企業とともに、農福連携の野菜のほか、「東員町の倭からしとエリンギのベーグル」「東員町の玉ねぎたっぷりオニオングラタン風ベーグル」など“日比谷音楽祭限定”のスペシャルベーグルも販売。また、障がい者による食品トレーの仕分けなどのワークショップも開催する。 まずは「障がい者」という枠を外して、新鮮な野菜、その野菜を使ったおいしいベーグルや、障がい者の方々が手掛けたコーヒーを楽しみながら、障がいのあるなしにかかわらず、すべての人が当たり前に働ける町を目指し、障がい者の就労に取り組んでいる東員町のブースで、障がい者が一町民として頑張っている姿を知ってもらえたらと思う。