ゴールデンウィークに急増! 「不在配達」解決へ 広がる“秘策”!【WBS】
この連休中に旅行などで家を空ける人も多いかと思います。それに伴って増えるのが「不在」による荷物の再配達です。この時期、物流業者を悩ます課題ですが、いま全国で新たな取り組みが始まっています。 都内で配送ドライバーをする須野田康亮さん。車に午前中に届ける予定の荷物を積んでいきます。 「今日は全部で50~60軒ぐらいになる感じ」(須野田さん) 早速向かったのは、葛飾区内のマンションです。大きなダンボールを持って配達に向かいますが、突然マンションの周りを走り始めました。 「重たい荷物なので宅配ボックスも利用できない。在宅で対面で渡すしかないが不在だと渡せない」(須野田さん) 運んでいたのは500ミリリットルの炭酸水、24本入りです。 「重たいですね。不在はやっぱりしんどい。いてほしいが、でもしょうがない」(須野田さん) 須野田さん、今度は荷物を抱えて階段を駆け上がります。ところがインターホンを鳴らしても応答はなく、再び荷物を抱えて降りてきました。 不在に次ぐ不在。中にはこんなケースも。 「不在でした。宅配ボックスももう全部埋まっていて。ここの集合住宅はいつも埋まっている。5日くらい訪れているが、いなくて。忙しいとは思うが、連絡をもらえたらありがたい」(須野田さん) この日、須野田さんが午前中に回った22軒のうち、不在だったのは7軒。その全ての荷物を持ち帰ることになりました。ゴールデンウイーク中は不在率が5割近くに上ることもあるといいます。 「自分が頼んだ荷物のことをちょっと考えてもらって、それを運んでいる配達員のことも少し思ってもらえるとすごく嬉しい」(須野田さん)
物流業界を悩ます「不在配達」
ドライバーの残業規制により、人手不足が深刻化する物流の2024年問題が本格化してから1カ月。連休中などの不在配達の多さに物流企業はどう対応するのでしょうか? 4月30日、決算発表を行った佐川急便を傘下に持つSGホールディングス。去年4月から今年3月までの1年間の業績は減収減益という結果となりました。 こうした中、物流企業にとって重しとなっている不在配達について、同社の川中子勝浩取締役は「すべての荷物を『置き配』(の対象に)することについて、今後ニーズを踏まえながら進めたい」と、これまで一部の荷物でしか行ってこなかった置き配について、全ての荷物で行うことを検討していくと明らかにしました。 不在の際、玄関前に荷物を置いて配達する置き配については、ヤマト運輸も6月から、対象となる荷物を拡大する予定です。 物流各社が置き配への対応を進める中、今ある取り組みが全国で広がっています。 「八王子市内の住宅街にやってきました。こちらのお宅の玄関を見ると、ドアノブに置き配バッグが下がっています」(安達洋之記者) 東京・八王子市の住宅にあったのは、不在時でも荷物を袋に入れることで受け取ることができる「置き配バッグ」です。 この置き配バッグ、自宅のドアノブなどにワイヤーを巻きつけバッグを繋ぎます。 運送業者は、宅配荷物をこのバッグの中へ入れ、南京錠を閉めることで荷物を置いていくことができるのです。 街の人も「(置き配バッグを)もらいました。再配達してもらわなくてすむので、何時までに帰らなくてはというのはなくなった」と話します。 実は、八王子市では、物流業者の負担を減らそうと、物流系ベンチャー企業「イーパー」と協力してオリジナルデザインの置き配バッグを作成。1万人に無料配布すると呼び掛けたところ、1万5000人から応募がありました。 実際に利用者にアンケートを行ったところ、「置き配バッグを配布する前と配布した後では、約72%の再配達削減効果があった」(八王子市環境部ゼロカーボン推進担当課の岡田栄一課長)といいます。 全国の自治体で置き配バッグの導入が拡大しています。長崎・佐世保市では、市のオリジナルデザインのバッグを1500個無料で配布する予定で、5月1日から受け付けを開始しているほか、東京都も、置き配バッグの利用拡大に向けて費用の補助などを実施することを発表しています。 「今回(無料配布で)費用はかかったが、重要なことだと認識している。市民のニーズを聞きながら少しずつ広めていく」(岡田課長) ※ワールドビジネスサテライト