岸谷五朗、「光る君へ」為時役「お父さんとしてまひろを見守っている」
NHK大河ドラマ「光る君へ」で吉高由里子演じる紫式部/まひろの父・藤原為時を演じている俳優の岸谷五朗がこのほど取材会を行った。 岸谷演じる藤原為時は和歌や漢学に秀でながらも官位には恵まれない下級貴族。初回から現在まで登場を続ける数少ない人物のひとりだ。「あまりそういう作品に出会うことってなくて、大河ドラマでもみんなバタバタ死んでクランクアップしていくでしょう? 僕も過去、必ず自分の死で終わっていて。でも今回は式部の成長とともに、父の影響力をとっくに超えた娘がいて。物語に影響を及ぼす役ではないかもしれないけど、お父さんとして、親としてまひろを見守っていられているなと思います」と振り返る。 初回では、文学に非凡な才能を発揮する子ども時代のまひろに対し、「紫式部日記」にも記されている「おまえが男子(おのこ)であれば」という“実話エピソード”を放つ為時。まひろの物語が認められ内裏に出仕することになり第32回では「おまえが女子(おなご)であってよかった」というせりふが視聴者の胸を打った。 「彼女が生きてくれたことに感謝しましたし、それは間違いではなかったんだなという。親のひとつのわがままみたいなものを通そうとした時に、子供は必ず外れていく。外れていった先にきちんとした幸せとか彼女の生きざまとかねそういうものがリンクして、これでよかったんだなって」としみじみ。「為時のなかでは文学に目覚めさせてしまった責務があって、平安の時代には違う側にいた方が幸せになれるんじゃないかと思ったこともあると思うんです。今となっては千年以上の時を経て読まれているなんて(実在した為時も)大喜びだとは思いますけど…」 17日放送の第44回で為時は出家。次回予告では剃髪姿も公開された。俗世から離れ、妻・ちやは(国仲涼子)や早世した息子・惟規(高杉真宙)の菩提を弔いながら余生を過ごすこととなる。「亡くなる順番を守れなかったこと、惟規にも妻にも死なれて生きているというのはかわいそうな人ですよね」。惟規との別れのシーンは「ちょっとたまらなかったですね。彼(高杉)が(役を)作ってきてくれた、明るく能天気な可愛い可愛いバカ息子が死んでいく。特段打ち合わせとかはせずに、生の芝居をしなければと思いましたね」 娘役の吉高とは同じ所属事務所。「本当に可愛らしい後輩っていうか、とにかくあいつがいいヤツだってことだけは知っていて。自分がバカになって、『光る君へ』に参加してくる役者たちを緊張させない。それで第2話で初めて登場した時に初めて目を見て芝居をしたんです。その目を見た時に、こいつの役者としての深さはこれだったのか…と思いました」と胸が熱くなったという。 9月には還暦の誕生日を迎えた。「よく還暦って、新たな生まれ変わり、スタートだってよく言うんですが、なんかその気持ちはとっても分かりますね。今までのやってきたこと、勉強してたことを踏まえて、新しいものに挑戦することができる気がするんです」。為時役との出会いを経て、また俳優としても新たなフェーズに入って行けそうだ。
報知新聞社