宮城・大衡村への半導体工場進出計画が突然白紙に 経済効果に期待していた関係者に大きな衝撃 次のアプローチを
khb東日本放送
宮城県大衡村に進出が決まっていた台湾の半導体大手PSMCの計画が、9月27日に白紙となりました。宮城県への経済効果が非常に大きいとみられていただけに、突然の撤退は関係者に衝撃を与えています。 【写真】小川ひろみ大衡村長
新田智紀記者「約8000億円を投じて建設される予定だったPSMCの半導体工場撤退の報を受け、宮城県には大きな衝撃が走っています」 大衡村民「結構がっかりですよね。栄えるのかなと思ったので撤退を聞いた瞬間びっくりという感じですけど。はじめ信じられなかった。白紙になったと聞いてびっくりしましたね」「企業ができて働く人も多くなって、栄えてほしかったと思いますね」 9月27日に突然発表された、台湾の半導体大手PSMCが大衡村に予定していた工場建設計画の撤退は、政府の補助金交付の要件だった10年以上の継続生産が台湾の法令に抵触する可能性があることや、今後、インドへの進出を検討していることなどが理由として伝えられたということです。 PSMCの撤退で最も影響を受けた大衡村の小川ひろみ村長は、撤退を聞いた時のことを振り返ります。 小川ひろみ大衡村長「びっくりすると同時に衝撃は大きかったです。期待もしていましたのでとても大きな企業でしたので、そういう部分では期待感が大きかった分ショックの大きさも大きかったのは嘘ではない」 小川村長は今回の一件で、全国的に知名度が上がったことを次の企業誘致につなげたいと話します。 小川ひろみ大衡村長「全国的に半導体イコール大衡村ということを皆さんに広めていただいた。これは大きな収穫だと逆に考えればいいんじゃないかと思っていますので、トレンド入りするくらい大衡村の名前が上がりましたので、それはとてもうれしかった。今後そこを有効に活用しながら企業誘致していきたいと思っています」 村井宮城県知事も大きな衝撃を受けたうちの1人です。 村井嘉浩宮城県知事「宮城県の市町村、県民の皆様が大変大きな期待を寄せておられました。まさかこのような形になるとは夢にも思っておりませんでしたので、大変残念に思います」 富県宮城を掲げ県内総生産10兆円を目指している村井知事は、大台に乗せる矢先の撤退に失意を隠せません。 村井知事は6月に、PSMCの誘致に自分が一定の役割を果たしたと誇らしげに語っていました。 村井嘉浩宮城県知事「SBIホールディングスが、半導体工場の新設に向けてPSMCと基本合意を発表したと新聞に出たんですよ。あのベタ記事見てですね、おっと思ったんですよ。SBIの北尾さんにつながって話をしたら、まだ何も決まっていないと話になりまして。で、PSMCさんの誘致に名乗りを上げたということでございます。31自治体が手を挙げた中で宮城県はどちらかというと後発組だったらしいんですけど、結果的には勝ち取ったということで小川村長、誠におめでとうございました」 しかし、このわずか4カ月後に村井知事の期待はもろくも崩れ去りました。 村井嘉浩宮城県知事「海外の企業は色々ルールが違うので簡単にはいかない部分もあるが、これで駄目なのではなく1つの教訓として次にチャレンジしていかないといけないと思っております」 もし、PSMCの半導体工場が計画通り進出していればどのような効果があったのでしょうか。経済、金融の専門家、七十七マーケティング&コンサルティングの田口庸友首席エコノミストは次のように話しています。 七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「年間売上高1900億円を前提に簡単に経済波及効果を試算しますと、1000億円を超える経済波及効果がありまして県内総生産を1.1%押し上げる効果があると言えます。この1000億円という数字は、東北6県の基幹産業の水産業の合計額を上回る金額になります。極めて大きなインパクトだと思います」 それだけにPSMCの撤退は、宮城県経済にとって大きな損失となりました。田口さんは、宮城県は企業誘致にとって良い条件を備えているとして次の企業へのアプローチを急いだほうが良いと指摘します。 七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「この高まった期待の火をなるべく消さないうちに次の案件に取り掛かっていく。今回(PSMCが)宮城県に進出を決めたのも、その様々なサプライチェーンの条件が良かったということで企業進出のポテンシャルは高いことは間違いないと思う。この強みを生かしてスピード感を持っていくことが大事だと思う」
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