ふかわりょう“弱さ”も認めてエネルギーに「傷ついている場合じゃない」芸能界生き抜く強さ
＜ニッカンスポーツ・コム／芸能番記者コラム＞ 芸歴30周年を迎えたお笑いタレントのふかわりょう（50）をこのほど取材した。1つの“節目”を迎えた今、何かを達成したいとか残したいとかではなく「とにかく楽しむ」のフェーズにいるという。 取材中も感じたが、とにかく、ふかわは自然体だった。本人が醸し出す落ち着いた雰囲気も相まってだが、その自然さは言葉にもにじんだ。12年4月からTOKYO MX「5時に夢中！」で9年間、21年4月から同局「バラいろダンディ」のMCを12年半務めたが、9月末で番組が終了する。寂しさはもちろんだが、それと同時に抱いているのは高揚感。この先の自分を「航海」と表現した。「“お笑い”というものを携えて大海原を航海したいです。30年がたった今、自分にとって大事な物が“笑い”というものであり笑い声を聞いていたいという心境です。荒波で転覆するかもしれないし、座礁するかも知れないですけど」と、取り繕うことなく語った。 芸能界は表現の世界でもある。ふかわ自身の性格には、繊細な部分があるという。だが「感受性が強い、言葉に傷つきやすいとか、そういう部分を自覚していた気はするんですけど、そういう感受性の強さとかを持っていながらも、傷ついている場合じゃないという局面になっています」。芸能界で長年過ごしていれば、内外から心無い言葉を浴びることもあったはず。繊細さであればあるほど、過ごしにくい世界ではないのだろうか。「つらい部分もありますけど、そういう部分は何かを表現したかったりすることと表裏一体だと思うんです」。自身の中に沸き立つ思いや考えが、音楽や執筆業といった創作活動の源泉。「追い込まれているとかではなくて、繊細さを持っていても、たくましく生きていくしかない」と力強く断言した。 インタビューでは30年の歩みをうかがい、記事にした。原稿を読んだ先輩から「こんな生き方ができるのはうらやましいね」という感想が届いた。“弱さ”も認め、自分に還元していく。腹をくくって挑んだ局面は、今だけではないはず。30年、荒波の芸能界を生き抜いてきた強さと長生きの秘訣（ひけつ）を感じた。【望月千草】
