損保ジャパン社長、政策保有株「純投資」とせず売り切る-30年度末へ
(ブルームバーグ): SOMPOホールディングス傘下の損害保険ジャパンの石川耕治社長は、2030年度末にゼロとする目標を掲げる企業との持ち合い(政策保有)株について、値上がりや配当を目的とする「純投資」に振り替えることなく、売り切る考えを示した。
石川社長はインタビューで、個人的意見としながらも、純投資への振り替えは「基本的にはやらない」と強調。30年度末に向けて「しっかり、確実にゼロにしていく」と述べた。戦略的な意義付けのある保有などを除き、政策株は原則として全て売却する方針だ。
金融庁は昨年末、企業向け共同保険料の事前調整問題で大手損保4社に行政処分を出し、政策株が適正な競争をゆがめた一因だと指摘した。同庁は損保各社に政策株の売却を要請しているが、純投資に区分することで見せかけだけの削減とならないよう実際の売却動向を注視する構えだ。
損保ジャパンは今年2月にゼロ方針を発表したが、昨日の決算発表時に現在1兆8000億円程度ある政策株を今期(25年3月期)中に最低2000億円売却する方針を示した。
石川社長は「相手先企業の財政政策などもあり、コミュニケーションをより深く取りながらやっていく」と述べた。一方で、戦略的な資本・業務提携などを踏まえ、従来の政策株とは違う位置付けで継続または新規保有する可能性もあるとした。
ガバナンス改革へ決意
石川氏は前任の白川儀一氏が中古車販売大手ビッグモーターによる保険金不正請求問題を巡り辞任したのに伴い2月、社長に就任。同社は事前調整問題と合わせ、大手損保で唯一2つの業務改善命令を受けており、内部管理体制の強化と顧客保護を重視した組織づくりが求められている。
石川社長は「他社との比較自体をもうやめようと誓った」と変革への決意を表明した。同社では新たな部署を設置し、社内の意識改革を進めるとともに、より適切な保険の引き受けなどを目指し、データに基づく経営の実現に取り組んでいる。