朝9時出勤の当直医師が帰ったのは...翌日の午後7時半だった『医師の過酷実態』2割が過労死ライン超え「仕事増えるけど人増えない...病院の努力だけで解決は絶対不可能」
その後も回診や会議 帰る頃には『出勤から約35時間』
午後1時。診察を終えた土谷さんの姿は医局にあった。この病院では当直明けの医師は昼までに帰ることが推奨されているが…。 (土谷良樹医師)「ちょっと病棟に行きます。週明けなので、患者さんに一通りご挨拶もしないといけないし。ぼちぼち、疲れていますけどね」 自身が主治医を務めている入院患者15人を回診。さらにこの後、会議が2本立て続けにあった。 (土谷良樹医師)「終わりました。お疲れ様でした。良い会議でした」 帰るころには午後7時半に。出勤から約35時間。翌日も朝から勤務だ。このような当直は月に4~5回あるという。
学会発表は「自己研鑽」過労死ライン超えていない計算に
仮に土谷さんが病院にいた時間全てを「労働」だとすると、時間外労働は月150時間以上となる。過労死ライン80時間を大きく上回る数字だ。しかし、この中に含まれる学会発表は「労働時間」でなく「自己研鑽」とされるなど、土谷さんの労働時間は過労死ラインを超えていないことになっている。 (土谷良樹医師)「僕はそのようにして生きてきたので、そういうものだというふうに思っておりましたけれど、医師が過労でばたばた倒れているということを知る中で、やっぱりこういう働き方はこんな普遍的にやっていてはいけないのではないかなと」 この病院でも電子カルテ入力を補助する事務員を配置するなど、医師の働き方改革に取り組んではいるが、実態はそれほど変わっていないという。 (土谷良樹医師)「(Q内科部長として部下の健康にも配慮しないといけないが?)そこは忸怩たる思いがありますね。自分の働き方も良いとは思えない部分もありますから。同じことを要求しないといけない局面もあるので。根本的な原因はやはり病院の勤務医で夜働ける人が圧倒的に足りない」 過酷な勤務は命にも関わる問題だ。おととしの厚労省の調査では全国の勤務医の21%が過労死ライン(月80時間)を超える時間外労働をしていることがわかった。