15歳・久保建英がGWにJ1デビューする裏事情とは?
FC東京がU‐23チームを参戦させているJ3を今シーズンの主戦場としている15歳の逸材、FW久保建英(FC東京U‐18)が、5月3日の北海道コンサドーレ札幌とのYBCルヴァンカップ予選リーグ(味の素スタジアム)で、トップチームデビューを果たすことが確実となった。 YBCルヴァンカップには今シーズンから、2020年の東京五輪をにらんだ強化策の一環として、決勝戦を除いたすべての試合に21歳以下の若手、正確には「1996年1月1日以降に生まれた選手」を1人以上、先発で起用することが義務づけられている。 いわゆる「若手育成枠」の人選が進められてきたなかで、来たるコンサドーレ戦においては2001年6月4日生まれの久保に白羽の矢が立てられた。実際にピッチに立てば前身のヤマザキナビスコカップ時代の2004シーズンに15歳10ヶ月20日で出場した、FW森本貴幸(当時東京ヴェルディ、現川崎フロンターレ)に9日及ばない歴代2位の最年少出場記録となる。 クラブの規定違反で公式戦に出場できない状況が続いていた久保が、将来を期待されていたFCバルセロナの下部組織を退団。帰国する道を選び、FC東京U‐15むさしに移籍した2015年5月から、FC東京のフロントは周到な育成計画を練ってきた。 昨シーズンは中学3年生ながら、高校生年代がプレーするU‐18へ「飛び級」で昇格させた。9月にはU‐18所属のまま、トップチームの公式戦に出場できる2種登録選手の手続きを済ませたが、ここで見逃せないのが、FC東京がU‐23チームをJ3に参戦させていた点だ。 つまり、FC東京の2種登録選手が出場できる公式戦はJ1、YBCルヴァンカップだけでなくJ3も対象になる。フロントもいきなりトップチームではなくJ3で、それも途中出場から徐々に経験を積ませて、同時進行で年齢が近い世代同士のプレーで生じるマンネリ感を取り払っていった。 2種登録は今シーズンも継続されている。さらにU‐18の試合と重複した場合は、基本的にJ3を優先させる方針も決定。体はまだ発育途上ながら、技術と判断力はU‐18レベルを超えたと判断されたためで、今シーズンのJ3では出場した4試合はすべて先発。そのうち3度はフル出場と、昨シーズンよりもステップアップさせた。 迎えた今月2日の鹿児島ユナイテッドFC戦。チーム事情もあって、FC東京U‐23はGKを含めて最大4人まで起用できるオーバーエイジ枠をフル活用。久保は元日本代表FW前田遼一と2トップを組み、「10番」を背負うボランチ梶山陽平の後方支援を受けた。 前半だけで交代し、後半はベンチで戦況を見つめた31歳の梶山は、初めて目の当たりにした久保の一挙手一投足に「技術的な部分は間違いなく通用する」と、トップチームでのプレーに太鼓判を押している。 「相手選手の間にポジションを取るのがすごく上手いし、前半は常に自分の視界に入ってきた。プレスなどで相手に体を寄せられたときには後方でサポートしてあげて、パスの逃げ道をしっかり作ってあげれば、問題なくできるんじゃないかと」