『リビングの松永さん』松永さんと美己が運命の出会い 凝縮された中島健人の“大人の魅力”
しかし、松永がシェアハウスに戻ると、先に帰っているはずの美己の姿が見当たらない。その理由は、“保護者として河北もシェアハウスに住むこと”が叶わなくなったと知った美己の母・朋子(映美くらら)がシェアハウスに現れ、美己を連れ戻そうとしたからだった。ショックを受け、どこかに消えた美己を心配になった松永は、彼女を探しに出かける。出会い頭はどうなるかと思ったが、ここに来てようやく松永の“カッコいい場面”が見られそうな雰囲気に安堵した。 美己は、街中のベンチに座って1人で落ち込んでいた。「あの……いろいろ手伝ってもらったのにごめんなさい」「荷造りもまた手伝ってやるよ」という2人のやりとりは、せっかく距離が縮まりそうな雰囲気になり始めたからこそ、少し切なさを帯びている。松永は土砂降りの雨に「まだ止みそうにねぇな」と自分のコートを広げると、美己を雨から守るように連れ帰った。 そしてここからが、今回の最大の山場となったのではないだろうか。「残念なのはわかるけど約束は約束」と自分を連れ戻そうとする母の言葉に「なんで保護者がいないとダメなの?」と返す美己。美己の言い分では、17歳の1年間を自分が大切に思う気持ちと「どっちの事情が大事とか比べられないじゃん」ということなのだが、この発言には、さすがに“甘い”と感じてしまったのも事実。とはいえ、未成年だからこそ、守られている立場だからこその美己の言葉は、17歳の高校生らしくもある。 そんな心の声を代弁するように声を張り上げてくれたのが、まさかの松永だった。「わがまま言ってんじゃない! お母さんだって意地悪で言ってるんじゃないことくらいわかるだろ」と大人の意見。心配だからこそ、大切だからこそ、時には通せない意見もある。「12歳の年の差“じわキュン”ラブコメディ」と銘打たれた本作の面白さが、このシーンに凝縮されていたように思う。 しかし、松永もここで引くわけではない。「俺が、美己さんの保護者がわりじゃダメですか?」「美己さんがここで暮らすこと、どうか許してくださいませんか?」と頭を下げて、母親に頼み込む松永。大人の手順でしっかりと美己の母親から許可を得て、美己のシェアハウス暮らしを後押ししたのだった。 いよいよ次回から、シェアハウスでの美己の生活が本格的に始まる様子。松永の大人の魅力には期待しかない。すでに美己と一緒に「松永さんて、こんな顔するんだ!」と思いたいばかりに、あんバターサンドを用意してしまいそうな自分がいる。
すなくじら