夫婦で別々の名字のまま結婚することを認めない民法などの規定は憲法に違反するとして、札幌の男女が国に損害賠償を求めている裁判の初弁論が開かれました。国は訴えの棄却を求めました。 佐藤万奈さん 「夫婦別姓が選べるようになってほしいっていう」 「私たち２人だけじゃなくてたくさんの人が思っていることなのでみなさんの思いとともに行ってきたいと思います」 札幌地裁に訴えを起こしているのは佐藤万奈さん３７歳と西清孝さん３２歳です。２人は名字を理由に離婚し、いまは事実婚の状態です。同じ職場で知り合い５年前に入籍した２人。当時の職場では結婚前の名字を通称で使うことが認められず、名札やハンコなどが変わり、これまでの名字が無くなっていくことに佐藤さんは大きな不安を感じたといいます。 佐藤万奈さん 「食欲なくなったりとか仕事中急に泣き出したりとかして自分ちょっと普通じゃないなって」 入籍からおよそ半年、佐藤さんは適応障害の診断を受け当時の職場を辞めました。 西清孝さん 「『婚姻届出すときに苗字を変えてくれない？って言われたことをすごい今でも恨んでるよ』って言われて」 「取り返しのつかないようなことをしちゃったのかもしれないって初めての気づいて」 ２人は現在の民法の規定について「夫婦のいずれか一方が名字を変更するか、婚姻を諦めるかの過酷な二者択一を迫るもの」と主張。憲法が認める個人の尊厳に「反するなどとして、国に対し１人あたり５０万円の損害賠償を求めています。 今回は札幌と東京あわせて６組の男女が一斉提訴。夫婦別姓をめぐる集団訴訟は全国３回目で、道内での裁判は今回が初めてです。 ２１日に行われた初弁論では原告の２人が出廷し、口頭での意見陳述を求めましたが、守山修生裁判長は「口頭で読み上げることに有益性はない」として却下しました。 一方、国側は過去２回の最高裁の判例に基づき、民法の規定は違憲ではないとして、訴えを棄却するよう求めました。 西清孝さん 「選択肢が増えるだけの法改正であって、不幸になる、不利益を被る人もいない」「ただ幸せになるカップルが増えるだけの制度なので阻む理由はなにもない」 次回の裁判は２０２５年１月３１日に開かれます。