「クレヨンで人を撃つんだ」イラストレーター黒田征太郎 85歳のとらわれない生き方 原点には戦争体験
RKBラジオ
イラストレーター、黒田征太郎。1970年代からグラフィックデザインの先端を走ってきた85歳は今、北九州市にアトリエを構え創作を続けている。3月22日に福岡市で開かれたトークイベントのもようを、RKBラジオ『田畑竜介 Groooow Up』に出演したRKBの神戸金史解説委員長が紹介した。 【写真で見る】「クレヨンで人を撃つんだ」イラストレーター黒田征太郎
「絵のようなものを描いて生きてきた」
黒田征太郎さんをご存知でしょうか。デザイナー、イラストレーターで、有名なアーティストです。盟友だった故・長友啓典さんと組んだデザインユニット「K2」で、とても強い存在感を放ってきました。 北九州市・門司港にアトリエがあり、ライブ・ペインティングや壁画制作など、幅広く活動を続けています。3月22日、福岡市東区の書店「ブックスキューブリック箱崎店」で開かれた、黒田さんのトークイベントを取材しました。 黒田征太郎さん:黒田といいます。85歳。気ついたら、85年間生きてきたんかなあと。気がついたら、「絵のようなもの」を描いてきました。今、僕は「絵のようなもの」と言いましたけど、ややこしい言い方かもわからないんですけども、いまだに絵が何なのかわかってない。聞き方によったら、嫌らしい言い方だというのはよく分かっています。でも、絵のようなものを描いて、食っていられるんですよね、僕。すごいなと思います。あの、威張っている意味でも何でもなくて、飯もちゃんと食えていますし。 黒田征太郎さん:家が欲しいとか高い自動車が欲しいとか、どうもそういう物欲はあんまりなくて。3年ぐらい前に死んだ弟が、「兄貴、家とか建てろよ」とか言うから「要らんねん」。建てたら掃除するのは大変でしょう。守らなあかんのが僕は嫌なんですよ。守らなあかんのは嫌で、3回離婚もしているんですけどね。 私の父とほぼ同世代です。とても自由な方だと思いました。
高級化粧品のCMキャラクターに採用
1939年、大阪の生まれ。滋賀県の高校を中退して、米国船の乗組員になったり、ボーイをしたり、アメリカやカナダを放浪して様々な職業を経てきました。なのに、いつの間にか有名になってしまいました。資生堂の化粧品「ヴィンテージ」のキャラクターとしてCMやポスターにも採用され、1979年にはこんなCMに出ていました。ナレーションを読んでみます。 (ナレーション) 落書した絵をほめられて イラストをやる気になった。 おだてられて のせられて その気になれば 本気になれる。 黒田征太郎は 自分をためしにアメリカへ 英語もできずに飛び立った。 28才の春であった。 (テロップ) 出会いは人生の香り。 (ナレーション) 熱いこころを満たす 資生堂ヴィンテージ 当時の仲間には、俳優の松田優作さん、原田芳雄さん、漫画家の赤塚不二夫さん…あがってくる名前はキラ星のような人たちばかりで、黒田さん自身もどれだけ有名だったか推し量れます。