震災・原発事故13年 被災農地の行方(上) 太陽光転用申請が急増 「営農型」畑荒れ是正指導も
福島民報社の取材によると、南相馬、楢葉、富岡、浪江、葛尾の少なくとも5市町村が営農型太陽光発電の農地管理が十分ではないとして事業者に是正を求める指導を行ったと答えた。 ◇ ◇ 農林水産省も事業の適正な遂行に動き出した。(1)パネル下の作物の10アール当たりの収量を地域平均の8割以上確保する(2)品質に著しい劣化を生じさせない―など、農地を一時転用する要件を自治体への助言にとどまる現在の「通知」から「施行規則」に格上げし、違反者の指導を強化する方針だ。営農よりも売電が主目的とならないよう、申請時に事業全体の収支見込みの提出も求める方向で、4月の施行を目指している。農水省の担当者は「通知」は法的根拠がないとして指導に応じない事業者もいるとし、「営農型太陽光発電は農業をやることが大前提だ。厳しい指導体制を構築する」と話す。 ただ、原発事故被災地という特殊な事情を抱える県内の農地は「復興支援」として事業者が参入しやすい現状がある。
※営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング) 農地に支柱を立て、上部にパネルを設置し営農を継続しながら発電する仕組み。遊休農地の有効活用につながるとして、農林水産省が2013(平成25)年3月に農地法に基づく許可制度を整えた。事業者は主に市町村農業委に農地の一時転用を申請し、都道府県知事の許可を得る必要がある。日が当たらなくても育つサカキやミョウガの栽培と組み合わせる事例が多い。