快速・特急が大幅削減なら「高速バス」だ! とはいかない、千葉県の深刻交通事情
京葉線のダイヤ改正
2024年3月16日のJR東日本のダイヤ改正が大きな話題となり、蘇我駅から東京駅までノンストップだった京葉線の通勤快速が廃止された。朝ラッシュ時の快速列車は上り2本のみに、夕方以降の快速列車も各駅停車に変更となった。 【画像】えっ…! これが60年前の「蘇我駅」です(計13枚) このため、快速が通過する海浜幕張駅以西の中間駅で列車に乗る機会は増えたが、海浜幕張駅~蘇我駅間、内房線・外房線からの所要時間は大幅に増加し、20分以上伸びる駅も出てきた。勝浦駅まであった外房線の乗り入れ区間には上総一ノ宮駅まで縮小された。 また、東京駅と君津駅を結ぶ内房線の特急「さざなみ」は平日下り5本から4本に、外房線の「わかしお」は上下線とも1~4本減便された。総武線の「しおさい」も銚子行きが1~2本減ることとなった。 京葉線の通勤快速や快速の減便に対して、千葉県や千葉市など京葉線沿線の自治体が強く反発したことは全国的な話題となった。 その後、JR東日本側は対応を軟化させ、朝ラッシュ時に全廃を予定していた京葉線の快速列車を2本のみ残すなどした。しかし、千葉市側はそれでも「不十分」との見解を示し、両者の敵対関係は今も続いている。
利用者の実態
JR東日本は、通勤快速を中心としたこれらのダイヤについて、 ・輸送状況に合わせた利便性向上 ・ダイヤの平準化 を目指したものだとしているが、本当に輸送状況に沿った改正といえるのだろうか。 JR側は「途中駅での乗客機会増加」というメリットを主張しているが、快速列車が運行される東京~海浜幕張間の通過駅の利用者数が、快速列車の減便による所要時間の増加というデメリットを受けやすい海浜幕張駅以東の4駅(検見川浜、稲毛海岸、千葉みなと、蘇我)の利用者数を上回れば、より多くの人が恩恵を受けることになり、今回の改正は大きなメリットといえる。 ただし、2022年の京葉線快速の通過駅の乗降客数数は次のとおりである。 ・越中島駅:4807人 ・潮見駅:1万2718人 ・二俣新町駅:5058人 ・市川塩浜駅:7342人 ・新習志野駅:1万1330人 東京23区内のJR駅のなかでは越中島駅の乗降客が最も少なく、二俣新町駅や市川塩浜駅など1万人を切る駅もある。一方、2022年における海浜幕張駅以東の4駅の乗降客数は次のとおりだ。 ・検見川浜駅:1万3870人 ・稲毛海岸駅:1万8519人 ・千葉みなと駅:1万5354人 ・蘇我駅:2万9462人 また、快速列車の主要乗り入れ路線である外房線・鎌取駅の乗降客数は1万7958人、土気駅は1万706人となっている。 このように、快速の恩恵を受けていた京葉線東部や外房線各駅の利用者数が、恩恵を受けるはずの快速通過駅を上回っており、各駅停車化は多くの利用者から反対されることが予想される。