ハリウッド俳優・森崎ウィン、巨匠スティーヴン・スピルバーグとの共演秘話“超一流のひと言に感銘”
ハリウッド作品への出演が俳優業の弾みに
ハリウッドでの貴重な経験を経て、森崎さんのさらなる躍進が始まる。翌年に公開された映画『蜜蜂と遠雷』では第43回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。そして’20年に上演されたミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2では、主人公・トニー役を射止めた。当時を振り返り森崎さんは語る。 「オーディションに受かったときは純粋に嬉しかったです。ただ、そのころはまだミュージカルに詳しくなかったので、苦労もしました。例えば発声の仕方ひとつとっても、それまで僕が歌ってきたやり方とは全然違うものだったんです。僕も本格的な声楽を学んできたわけではなかったので」 そんな困難を乗り越え森崎さんは必死で役をつかみ、晴れて上演された舞台は絶賛で幕を開けた。ところが残り13公演を残した’20年2月27日、新型コロナウィルス感染症の拡大を防ぐため、突如公演は中止になってしまう。 「急にスパっと舞台がなくなってしまって、すごく無力感に襲われました。また同年に、シンガーとしてソロのメジャーデビューをしたのですが、無観客でライブをしなければいけなくなってしまって。みなさんにちゃんと僕の思いが届くのかな、と思いましたね。やっぱりライブは観客の皆さんに直接披露してなんぼのものだと思うので、すごくつらかったですね」 やがてコロナも落ち着き、舞台の活動やライブ活動を再開していく。 「観客のみなさんに会場へ戻ってきていただけるようになって、去年ようやく全国ツアーができるようになりました。一方で、テレビなどでいまだに後遺症で苦しんでいらっしゃる方たちを見ると、こうやって再びライブをやれているということ自体に、まず感謝しなければいけないと思いました。いろいろなことを欲を出して求めるのではなく、できることから少しづつやっていかなきゃいけないって」 順調に進んできた歩みが突然止められることがあっても、焦らず、しっかり足元を確かめ、前を向く。未来につながっていくそんな気持ちの変化「THE CHANGE」が、森崎さんの立つ舞台を、いま明るく照らしている。 森崎ウィン(もりさき・うぃん) 1990年8月20日生まれ、ミャンマー出身。’18年公開のハリウッド超大作『レディ・プレイヤー1』で主要キャストを演じ、一躍脚光を浴びる。‘20年に映画『蜜蜂と遠雷』で第43回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。同年、ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2で主演を務める。近年はNHK大河ドラマ『どうする家康』に出演するなど映画、ドラマ、舞台で幅広く活躍。7月15日に開催される『ミュージカルは最強です!2024』では、昨年に引き続きコントにも挑戦する。 片岡壮太
片岡壮太