【北陸新幹線が延伸】手放しでは喜べない?…「100年に1度のチャンスなのに」 福井から「関西が“遠くなる”」?
北陸新幹線は敦賀から先、新大阪まで延伸され全線開通することは決まっています。開通予定は2046年とされています。この延伸が実現すれば、再び関西と北陸は新幹線一本でつながるわけですが、実はいま、この計画に暗雲が広がっています。 7年前に決まったルートは、敦賀から先、福井県の小浜市を通って京都市に向かい、新大阪を目指しています。いま、そのルートの途中で計画撤回を求める住民の動きが起きています。
1つは南丹市美山町。このエリアには江戸時代に建てられた住居が今も残り、日本の原風景が広がる国の重要伝統的建造物群保存地区もあります。 この美山町など、京都府内を長いトンネルで通過する想定ですが、膨大な工事車両が通過することや工事で出た残土の処理に不安の声が上がっています。さらに、京都市内は地下トンネルで抜ける予定だが地下水が寸断されるのではと懸念の声がでています。 また、京都は古都ですから、これまでもトンネル工事で埋蔵文化財が出てくるケースがありました。工事が遅れることを懸念する声も強くあります。さらに京都を過ぎて、新大阪の地下駅が終点となりますが、ここも大きく開発されている場所で、難工事が予想されています。 当初は、今年度工事開始でしたが、前提となる環境アセスが終わらず、いまその時期は見えない状況です。
■再浮上する「米原ルート」
大阪への延伸時期が見えない状況で、石川県内の自治体の長からはこんな声も飛び出しました。 石川・加賀市 宮元陸市長 「米原ルートでぜひお願いします」(2023年10月1日 新幹線歓迎イベントでの発言)
この「米原ルート」。敦賀と東海道新幹線の駅がある米原の間はわずか50キロほどで、さらに地形的にもトンネルは少なく、小浜・京都ルートより、工期が短く建設費も安いと考えられています。 小浜・京都ルートは2016年当時の試算で2兆700億円かかるとされました。一方、米原ルートは、5900億円とされ、工期も10年程度とされました。