俳優・水上恒司インタビュー「時は平等。与えられた時間をどう生きるかは、自分次第」
連続テレビ小説『ブギウギ』で見せた大阪弁の好演に、昨年公開の主演映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』での第47回日本アカデミー賞優秀主演男優賞の受賞など、大躍進中の俳優・水上恒司さん。次回作が待望される中、テレビ朝日ドラマプレミアム『黄金の刻(とき)~服部金太郎物語~』(3月30日(土)夜9時~/テレビ朝日系)に出演。主人公の服部金太郎を演じる俳優・西島秀俊さんとの共演で注目を集めているが、水上さんが演じるのは、金太郎の青年期。一人の偉人の若かれし頃を演じることで自分自身を見つめ直す経験にもなったという今作。インタビュー前編では、作品の見どころとともに伺います。 朝の連続テレビ小説『ブギウギ』で好演を見せた俳優・水上恒司【写真をもっと見る】
人生をかけて追い求める、男の生き様
服部金太郎は、「東洋の時計王」とも呼ばれる「セイコーグループ」の創業者。日本初の腕時計、そして世界初のクオーツ時計を発売したことで知られる服部金太郎の知られざる波乱の人生を描き出す本作。主人公の服部金太郎役を演じるのは西島秀俊さん。水上さんは、丁稚から時計修理職人として研鑽を積む金太郎の青年期を演じる。 「今回僕が演じた14歳から21歳までの青年期というのは、金太郎さんが“時”に魅了されていく時期であり、その後、金太郎さんが『東洋の時計王』とまで呼ばれるようになる波乱の人生を描く上でとても大事な部分だと思いました。明確に解釈できていたかはわかりませんが、その過程がいかにキラキラしていたのかを大切にしたいと思い、自分なりに自由な発想で臨みました」
これまでも実在の人物を演じた経験を持つ水上さんだが、「実在の人物に寄せていくというのは、本当にとても難しい」と、噛み締めるように語り出してくれた。 「もしかしたら、実在の人物を演じるって、芝居の極みかな、と思うんです。単純に姿形を寄せるという作業をするにしても、まだまだ僕の技術では役そのものを自分の体に宿していくことができない。そこが抜けてしまっていては、見るに値しないものになってしまうと思うので、姿形を寄せていくということは、すごく高度なことだと思います。今回、金太郎さんの青年期を演じてみて、台本通りにやることの大切さを改めて学びました。僕がやっていることがその後を演じる西島さんに繋がっていくので、自分次第で、西島さんに思わぬバトンを渡してしまうことになる。西島さんが演じるその後の金太郎がどんな人物になっていくんだろうと、僕自身もワクワクしていたので、少しでも違和感なくタスキが渡せていたら嬉しいです」