トレーダーはトランプ氏の「ビットコインカンファレンス」での演説に期待し、価格変動に備える

ドナルド・トランプ（Donald Trump）氏が7月25日から27日にナッシュビルで行われるビットコインカンファレンスに出席することが明らかになり、トレーダーたちは主要暗号資産（仮想通貨）の極端な、あるいは異常な価格変動に備えている。 取引高と建玉で世界最大の暗号資産（仮想通貨）オプション取引所のデリビット（Deribit）に上場し、アンバーデータ（Amberdata）が追跡しているオプション市場の活動は、「バタフライ指数」が顕著に増加している。バタフライ指数は、ビットコイン（BTC）の市場価格から離れた価格で取引されている、アウト・オブ・ザ・マネー（OTM）のコールおよびプットオプションのボラティリティを測定する指数だ。この指数が急上昇したことは、市場の動きがさらに激しくなることへの期待を示している。 「今週、ナッシュビルのビットコインカンファレンスでトランプ前大統領の演説が予定されている。トランプ氏が依然として大統領の有力候補である限り、何かが起こるきっかけになるだろう。デリバティブ市場の動きも同様の見解で、『何かが起こる』というシナリオをサポートしているようだ」と、アンバーデータのデリバティブ・ディレクター、グレッグ・マガディーニ（Greg Magadini）氏はメールで述べている。 「あまり話題には上らないが、今週は言及する価値があるだろう。25デルタのオプションは、アット・ザ・マネー（ATM）のボラティリティと比較して急上昇している。オプション市場におけるこの種の動きは、より高いリターン分布尖度またはファットテールへの期待を反映している」とマガディーニ氏は付け加えた。 オプションは、買い手に対して強気または弱気な価格変動から保護するデリバティブ契約だ。コールは強気な動きから保護し、プットは価格下落に対する保険となる。BTCの市場レートを上回る行使価格のコールや、市場レートを下回るプットはOTMと呼ばれる。トレーダーは通常、バタフライ指数を押し上げるような予期せぬ市場の動きに備えるためにOTMオプションを購入する。 そのため、トレーディングデスクでは通常、さまざまな権利行使価格と満期日のオプションのボラティリティ・スマイルまたはボラティリティ・プロファイルの変動幅を示すために「バタフライ」という用語を使用しています。バタフライが高額になると、ボラティリティ・スマイルが急勾配になり、極端なまたは予期せぬ事象が市場の結果に影響を与える可能性を示す兆候となる。 大統領選挙での当選の可能性を高めたと思われる暗殺未遂事件があったにもかかわらず、トランプ氏は7月27日にナッシュビル会議で演説を行う予定だ。噂によると、トランプ氏はビットコインがアメリカの金融システムにおいてより重要な役割を果たすと述べるかもしれない。 「彼がビットコインは戦略的準備資産だと延べるのではないかという憶測が高まっており、これがビットコイン価格の急騰を引き起こす可能性がある」と、10xリサーチ（10x Research）の創設者マーカス・ティーレン（Markus Thielen）氏は7月22日のニュースレターで述べた。「トランプ氏のナッシュビルでの演説を前にビットコインの利益確定売り、あるいは空売りを行うことは、結果的に大きな損失を被ることになるかもしれない」。 アメリカでのイーサリアム（ETH）現物ETF（上場投資信託）のデビューが予想されるなど、バタフライ指数の上昇を説明する要因は他にもある。 「トレーダーやマーケットメーカーは、7月31日の連邦公開市場委員会（FOMC）と今後予定されているスポットETFによるテールリスクを懸念しており、それがBTCのテールリスク（バタフライ指数）の価格を押し上げている」と、暗号資産運用会社Blofinのボラティリティトレーダーであるグリフィン・アーダーン（Griffin Ardern）氏はCoinDeskに語った。 テールリスクとは発生確率は低いものの、発生すると相場が暴落するなど、非常に大きな損失を被ることになるリスクを指す。 今週は、2024年第2四半期のGDP成長率、連邦準備制度理事会（FRB）が好むインフレ指標である6月のコアPCE価格指数、耐久財受注、小売売上高の速報値が発表される。これらの数値はすべて、FRBの利下げ予想やBTCを含むリスク資産への需要に影響を与える可能性が高い。 ｜翻訳：CoinDesk JAPAN｜編集：井上俊彦｜画像：Shutterstock｜原文：Bitcoin Traders Brace for 'Fat Tails' as Focus Shifts to Trump's Nashville Bitcoin Conference Speech