「野菜、全部きらい」…“極端な偏食”増加中 強豪部活の寮生が克服した「食感」
偏食は子どもの将来にも響く!?…「食べ続ける」からこそ大切な食育
食物アレルギーの有無にはもちろん注意したいが、渡邊さんは、お子さんの苦手意識をとりのぞく工夫はしつつ、同時に「食べることの意味を家庭で教えてあげほしい」と語る。 「中学、高校と進むにつれ、親が作ってくれるもの以外を食べる機会が増えます」 野球部の寮に入れば、好き嫌いばかりは言っていられない。出てきた食事を食べなければ、体を大きくできない。また、甲子園のような全国大会に行き、宿泊先で提供される食事を食べられなければ、パワーが出ずに十分なパフォーマンスが発揮できないかもしれない。トップレベルになれば、海外遠征もあるだろう。 「だから、お子さんにも『食べられないものが多いとパワー不足になってバテるよ。練習してきた力を発揮するためにも、いろいろなものをバランスよく食べた方がいいよね』と話してみたらどうでしょうか」 スポーツ選手としてだけでなく、大人になって食べられないものが多いと、会食や旅行先でも自分だけ別のメニューを頼むとか、“この店はダメ、あの店もダメ”となる。 逆に言えば、社会に出てから、“おいしい、おいしい”と食べられることで、相手に好印象を与えられる可能性もあるだろう。なんでもおいしく食べられるのは「最強のスキル」だ。 「将来のために、小学生のうちから食べることの大切さを教えてあげてほしいのです。私たちは一生、食事をし続けるのですから、食べられる選択肢が増えることは、その子の人生も豊かになります」 そして、「味覚は成長します」と渡邊さん。確かに子どもの頃は苦手だったものが、大人になって食べられるようになった経験をした人は多いだろう。だから、神経質になりすぎず、小・中学生のうちから少しずつ、家庭でもできる簡単な工夫で偏食を直していこう。 食べる楽しさや大切さをしっかりと伝えて、子どもたちの健やかな成長につなげていきたい。
大橋礼 / Rei Ohashi