1m95「二刀流ハードラー」豊田兼、父の母国での五輪へ「3番以内」…きょうから日本選手権
[パリへの助走 陸上日本選手権]<下>男子110m・400m障害 豊田兼 21(慶大)
陸上の日本選手権(読売新聞社後援)が27~30日、新潟市のデンカビッグスワンスタジアムで行われる。パリ五輪代表選考会を兼ね、五輪参加標準記録を突破して優勝すれば代表に内定する。既に内定した選手も参戦する熱戦の主役たちを紹介する。(田上幸広)
5月19日のセイコーゴールデングランプリ400メートル障害で日本歴代5位の48秒36をマークし、同じくパリ五輪参加標準記録を破っている筒江海斗(ST―WAKO)、黒川和樹(住友電工)らを抑えて優勝した。「自己ベストの走りを日本選手権でも再現できたら」と意気込む。
1メートル95の長身を生かし、昨年の世界ユニバーシティー大会では110メートル障害で優勝するなど、ハードリングが得意。さらに今季は走力強化に取り組み、5月9日の関東学生対校選手権400メートル準決勝で自己新の45秒57をマークするなど、スピードの地力もついてきた。
持ち記録ではトップで臨む選考会だが、「挑戦者の気持ちで3番以内という目標にフォーカスしていきたい」と謙虚に語る。一方、参加標準記録を破っていない110メートル障害の代表入りにも貪欲に挑戦する。
父がフランス出身。「縁のある場所で開催されるのは、すごく自分の力になる」とパリ五輪出場に強い意欲を持つ。異色の二刀流ハードラーは「五輪の舞台で躍動できるように調整していきたい」と力を込めた。
男子400 2人の「佐藤」激突
筒江は5月3日の静岡国際では豊田に競り勝ち、好勝負が予想される。一方、黒川は昨秋に左足首を骨折した影響が長引き、調子が上がらず苦しんでいる。本来の走りを取り戻せるか。
男子110メートル障害では、既に五輪代表に内定している泉谷駿介(住友電工)が不在。泉谷と並ぶ日本タイ記録を持つ村竹ラシッド(JAL)らが代表の2、3枠目を狙う。
男子400メートルは日本記録保持者の佐藤拳太郎(富士通)と佐藤風雅(ミズノ)が参加標準記録を突破済みで、2人を中心に激戦となりそうだ。
男子100メートルは既に内定しているサニブラウン・ハキーム(東レ)が不在。今月15日に追い風参考ながら9秒97をマークした柳田大輝(東洋大)らが、標準記録10秒00の突破に挑む。