『M-1グランプリ』準決勝に初進出。ドンデコルテが語る“おじさんでよかったこと”
東京吉本の若手芸人が所属する「神保町よしもと漫才劇場」から、今押さえておくべき芸人を紹介する連載「レコメンド神保町」。前途有望な若手芸人が日々、切磋琢磨しているこの劇場の中でも注目の芸人とは。 【動画】“おじさん”を武器にしたドンデコルテの漫才 第10回は2024年の『M-1グランプリ』で敗者復活戦に出場し、おじさんを前面にアピールしたネタで爪あとを残したドンデコルテ。神保町よしもと漫才劇場所属芸人の中で年長者ならではの悩みと、よかったことを聞いた。
おじさんという自覚が強みになった
──まずはおふたりのコンビとしてのアピールポイントを教えてください。 小橋共作(以下、小橋) コンビとして……。僕たちは完全にナベさん特化型だもんね。 渡辺銀次(以下、渡辺) そうかな? 『M-1グランプリ2024』の敗者復活戦でやった漫才『恋煩い』は、小橋じゃないとできないツッコミですから。鋭いツッコミをする人だと、すぐ会話が終わっちゃうんです。だから、小橋みたいに抜けたタイプの人間だからできたネタだと思います。 ──それぞれの長所を活かしたドンデコルテならではの漫才ができた。 渡辺 本当にあれが僕らに合っていたのかはわかりませんけどね。決勝に行って優勝したわけじゃないので、これからもずっと探り探りやっていくんだろうと思います。 小橋 僕の中ではコンビの方向性がなんとなく見つかったなとは思ったんですけど、決勝には行けなかったので、まだまだ進化させないといけないですね。 渡辺 あと、我々のアピールポイントでいうと、おじさんということですかね。神保町にいると年下ばかりですから。 ──現在、芸歴11年目にあたる東京NSC19期出身の方以降が所属している神保町よしもと漫才劇場では、14期生の渡辺さんは一番の先輩になりますね。(※小橋が19期生のためドンデコルテは神保町所属) 渡辺 そうですね、自分がおじさんだって自覚ができたのも、神保町にいるからなんです。ムゲンダイに行くと全員同世代なので、自分がおじさんだと気がつかない。だから、おじさんネタはやってなかったと思います。『恋煩い』ができたのも2年前ぐらいなんですけど、そのときはおじさんだと思っていなかったので、ネタ中に年齢は言わず、固い性格のキャラクターの人のみでやってましたね。 小橋 ナベさんもまだ36、7歳とかだったからね。 ──神保町劇場では後輩の方ばかりですが、小橋さんから見て渡辺さんはどんな存在ですか。 小橋 16年目の39歳を2、3年目の20代前半の子がベッドに寝ながらイジってるときとかあるんですよ。でも、後輩からイジられるってことは、慕われてる証拠だと思います。 渡辺 変わりましたよね。もう昔のような縦社会じゃないんだぞっていうのは日々、自分に言い聞かせてます。 小橋 ちょっと嫌な思いしてる感じが出てるじゃん。 渡辺 けっしてムカついてるとかじゃないんですよ。ただ、自分が芸人になったばかりのころ、なりたかったプライド高くて、後輩からのちょっとのイジリも許さねえ、ナイフみたいな芸人に自分はなれなかったんだなって。まだ憧れはあるんで……。 小橋 ナベさんにしかわからない葛藤です。