メッカ巡礼中の死者、少なくとも1301人 サウジ当局が発表
サウジアラビアは23日、イスラム教の聖地メッカへの大巡礼(ハッジ)をしていて死亡した人が、少なくとも1301人に上ったと発表した。 今年の大巡礼は14~19日に熱波の中で行われ、気温が50度を超える時もあった。サウジアラビアの国立気象センターによると、メッカの気温はこの間、最高51.8度まで上昇した。 国営サウジ通信(SPA)によると、死者の4分の3以上は公式な巡礼許可を得ておらず、暑さを避ける十分な対策がないまま炎天下を歩いていた。死者には高齢者や慢性疾患のある人もいたという。 自国民の死者が出ている国々は最新情報を発表しているが、サウジアラビアは23日まで死者について公式にコメントせず、死者数も発表していなかった。 AFP通信はアラブ地域の外交官の話として、エジプト人の死者は658人に達したと伝えた。インドネシアは自国民の死者が200人以上、インドは98人に上ったと、それぞれ発表した。 このほか、パキスタン、マレーシア、ヨルダン、イラン、セネガル、スーダンの各国と、イラクのクルド自治区も、自国・地域の巡礼者が死亡したのを確認したとしている。 多数の死者が出たことについては、サウジアラビアへの批判が上がっている。大巡礼の安全対策が不十分だったとするもので、特に、空調されたテントや公式の交通機関を利用できない未登録の巡礼者への対応が問題視されている。 サウジアラビアのファハド・アル=ジャラジル保健相は、熱ストレスの危険性とその軽減方法について、巡礼者の認識を高める努力をしてきたと主張。同国の保健施設は50万人近い巡礼者の治療に当たったとし、うち14万人超は許可証を持っていなかったとした。また、一部は熱疲労で今も入院したままだと述べた。 ■各国で影響広がる 大巡礼はイスラム教徒の義務とされ、経済的、肉体的に可能であれば、一生に一度は行うべきとされる。 サウジアラビアによると、今年は約180万人が参加した。 大巡礼にはサウジアラビア当局の許可証が必要で、国別に割り当てられたものが抽選で個人に渡る。こうした公式な方法での参加は費用がかかるため、逮捕や強制送還のリスクを冒してでも、無許可で参加しようとする人も多い。 サウジアラビア当局は、大巡礼が始まる前に、無許可の巡礼者数十万人をメッカから排除したと発表していた。 多くの死者が出たエジプトでは、モスタファ・マドブーリー首相が22日、メッカへの違法な巡礼を可能にしたとして旅行会社16社のライセンスを取り上げ、経営者らについて検察に書類などを送った。 ヨルダンも21日、非公式な巡礼を助長したとして、数人の旅行代理業者を拘束したと発表した。チュニジアではカイス・サイード大統領が宗教相を解任した。 (英語記事 At least 1,301 people died during Hajj - Saudi Arabia)
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