“ヒミツの湖”で一足早い紅葉 カヌー犬と行く「奥日光・菅沼」
月が変わって本格的な秋を迎えた10月1日水曜日、一足早い紅葉を求めて奥日光・菅沼(すげぬま・群馬県片品村)に行った。標高1731メートル、周囲6.5キロメートル。瓢箪のようなくびれた形状で3つの沼がつながっている特徴的な堰止湖(せきとめこ)だ。白根山の火山活動によって形作られたとされている。 近隣には紅葉の名所として有名な中禅寺湖やいろは坂があるが、この菅沼の方が標高が500メートルほど高く、紅葉の時期は一足早い。今年は例年よりも一週間ほど早く色づき、今が見頃だ。しかし、菅沼は私有地ということもあって、自由に立ち入ることの出来る場所は少ない。その全貌を見るのが難しい一種のヒミツの湖なのだ。
ただし、船やボートがあれば話は違ってくる。そこで、カヌー犬のマービー(ラブラドール・レトリーバー/4歳・オス)と、ターフ(ジャック・ラッセル・テリア/10歳オス)、リーフ(同/8歳・メス)のカナディアン・カヌーに同乗させてもらい、3つの沼を制覇することにした。【内村コースケ/フォトジャーナリスト】
●霧の中の幻想的な紅葉
上流から清水沼、弁天沼、北岐沼の三連湖を総称して菅沼と言う。カヌーの出発地点は、清水沼の東岸にあるキャンプ場だ。ここから2本の「くびれ」を通って3つの目の北岐沼を目指す。 出発は午後1時。前日までの晴天とは打って変わって霧が立ち込める曇天だったが、それはそれで自然の表情の一つ。1日の気温差が20度近くもあるという気候のためか、紅葉の色づきはかなり良い印象だ。ただし、「霧の中の紅葉」は幻想的だが、イメージをそのまま写真に定着するには技術を要する。
最初はターフとリーフの“二連カヌー”に同乗させてもらう。カヌーが出発すると、ターフはやる気満々で「俺はやるぜ」と吠え続けた。先行するマービー艇に望遠レンズを向けると、ちょうど真っ赤に色づいたオーバーハングの下を航行中だ。
幅5メートルもあるだろうか。「くびれ」は本当に狭い。長い歴史の中でよく埋まらなかったと感心する。2つ目の弁天沼の奥にある砂浜に上陸。すると、わずかな雲の切れ目から光が差し、湖岸の紅葉を所々照らした。一気に色の深みが増す。