為替巡り「適切に対応」「24時間準備」、財務相らが相次ぎけん制
(ブルームバーグ): 為替相場が1ドル=160円台目前の円安水準で推移していることを受け、政府関係者から市場をけん制する「口先介入」が相次いだ。
鈴木俊一財務相は24日、為替の過度な変動は望ましくないとした上で「必要に応じて適切に対応する」と話した。為替相場は「ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましい」とした一方、足元の水準についてはコメントを控えた。省内で記者団の取材に応じた。
神田真人財務官も同日、為替介入は「24時間いつでも準備できるようにしている」と述べ、市場をけん制した。過度な変動は国民経済に悪い影響を与え得るとしつつ、そうした場合には適切に行動するとの見解を示した。
外国為替市場では、米国の好調な経済指標を受けて円安・ドル高が進んだ先週末の流れが継続。同日朝の円相場は159円台後半と、4月29日に付けた34年ぶり円安値の更新を試す動きとなっている。鈴木財務相や神田財務官の発言後の市場の反応は限定的で、159円70銭前後で推移している。
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りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは「口先介入でどこまで進行を止められるかだが、注目は160円を超えてからの値動きだろう。円安が加速するような場合には、介入警戒感が高まり、相場は神経質になるだろう」と話す。
神田財務官は、足元の動きが過度かどうかについては明言を避け上で「特定の水準は考えていない」とした。経済のファンダメンタルズに沿った動きかどうかが重要で、「100円だろうが200円だろうが関係ない」と述べた。為替が過度に動いた場合に当局が対応することは「国際的にも許されており、当然だと解されている」とも話した。
一方、米財務省が20日の外国為替報告書で為替慣行に関する「監視リスト」に日本を追加したことについては、経常収支や貿易収支などの基準に機械的に照らして認定されただけだとして「それ自体が問題があるということではない」とした。