【特集】迫力の映像で魅力発信 信州のフリーカメラマンが集結 ライバル同士が切磋琢磨 長野市に交流拠点
テレビ信州
旅行の計画を立てるときにどうやって旅先の情報を探しますか? いまや観光の誘客にも欠かせない存在となった動画。信州の魅力発信のウラで動画を生み出すカメラマンたちが活躍しています。 見る人を惹きつける、迫力の映像。信州の魅力を、ドラマチックに伝えます。 こうした映像は、いまや、信州の観光PRにも欠かせない存在です。 この日、集まっていたのは県内で動画や写真の撮影を生業とするフリーのカメラマンたち。 普段個人で仕事をする彼らが一同に会するのは、実は異例のことです。 GOAT Inc.山岸惇さん 「今回のモデルはホーリーくんです。彼をみんながどう撮るか。この1灯だけを使ってiPhoneのみ。使えるのはこのアイテムのみ」 突如始まったのはスマホを使った撮影バトル。同じ被写体をどう撮るか、構図のセンスが問われます。 フリーカメラマン 「クールな感じで行きたいんでポケットに手を…」 「もうちょっと近寄れますか…」 フリーカメラマン 「こいう小細工抜きで上手に撮れるのすごい」 「写真家だね」 1人が撮影する間、別のカメラマンたちは真剣に見つめています。 この集まりを企画したのは、長野市のフリーカメラマン、山岸惇さん・42歳。 アウトドアカメラマン山岸惇さん 「ここを使ってもっと交流して、仕事の出しあいだったりとかノウハウ共有とか、いろんな企画、普段とは違う器材を使って交流してみたりとか、センスを試してみたりとかというような」 長野市にある「GOAT BASE」。山岸さんが、今年7月にオープンした予約制の店です。ここでは月1回、カメラマンたちの交流会が開かれています。同じ業界でそれぞれがフリーで仕事をする以上、お互いが、ライバル。それでも今、交流の場を作ったのは、動画制作の需要に変化が出ているからです。 11月8日 信州の玄関口、JR長野駅。 新幹線の改札を出てまず目に飛び込んでくるのが、スクリーンに流れる美しい信州の映像です。 ロシアとドイツから 「すごく素敵な動画ですね」 「どんな街なのかを知ることができて便利だと思います」 ながの観光コンベンションビューロー 観光部 中澤拓也さん 「もうなくてはならないものでしょうね。」 近年、こうした動画は観光客の誘致に欠かせない存在です。 長野市の場合、10年前には、1本の動画を制作するために多額の予算と労力を費やしていたといいます。ところが、スマホやSNSの普及で動画がより手軽になり、今では、積極的に活用しています。 中澤拓也さん 「いくら説明しても分からない。見なきゃ分からない。といった時に動画をちょっと見せるだけ、10秒の動画を見せるだけであっと分かってくれるので、そこは非常に使い勝手がいい、一番の動画の使いどころだと思いますね。」 こうした状況はほかの観光地や自治体も同じ。動画制作の依頼に撮影が追いついていない状況だと言います。 カメラマンの交流拠点の店「GOAT BASE」を作った山岸さんも、観光動画の制作を請け負う一人です。 最近、積極的に取り入れているのがFPVと呼ばれる小型のドローン。その映像がこちら…。 普段見るドローン映像よりはるかに速いスピード感。まるで鳥の目です。 山岸惇さん 「100キロくらいまで出るレースドローンと言われていますけど、これで自分が鳥のように(スキーの)ライダーを追ったりとか、地形を舐めて行ったりだとか、山の美しさとか山岳景観の迫力が撮れるようなふうに使っています。」 山岸さんが得意とするのは、信州の山岳風景や、スキーやスノーボードといったアウトドアスポーツの撮影。 依頼があれば3000m級の山でも…雪山でも出かけ、様々な角度から被写体をとらえます。 元々は、趣味のスケートボードで、仲間の滑りを撮影したのがきっかけ。30歳で好きだったアウトドアを主戦場にフリーカメラマンとして活動を始めました。それからの12年間で、動画の需要は大きく変化し、カメラマン同士のつながりを意識するようになりました。 山岸惇さん 「クリエーターが集まって、長野県の映像制作が盛り上がっていって、フォトグラファーも含めて、みんな技術が上がって目線が上がっていけば、いい写真、動画が増えて県外へ出ていく。イコール長野県の魅力がどんどん伝わっていくとか、もっと早く伝わっていくことになると思うので、」 そのためにつくった交流拠点。山岸さんならではの“仕掛け”も詰まっています。お酒を片手に交流を深めてもらおうと1階はバー兼打ち合わせ場所。2階には宿泊部屋も完備しました。 さらに… 山岸惇さん 「ここがアウトドアクッキングができるスペースで、ここで燻製をやるんですけど」 キッチンを担当する妻のりえこさんと作るのは、本格的なバーベキュー料理。編集の疲れを癒すためのサウナまで導入しました。 山岸さん 「自分を含めてクリエーターの癒しの場。ここに来たら得るものがあって、仲間が増えていってというような場所になれば一番いいですね。」 信州のクリエーターたちを盛り上げたい。その思いは今、他のカメラマンたちにも伝わっています。 空撮カメラマン 「僕らも新しい人を呼んでその新しい子たちが長野の仲間を作っていく場としては本当にすごくいい場所かなと。僕は応援しています」 ライバル同士が切磋琢磨して信州の魅力を発信していく。山岸さんがまいた種は着実に育ち始めています。