山下智久は“闇”を抱えた役がハマる 『ブルーモーメント』で体現する喪失感と情熱のバランス
『クロサギ』『ブザー・ビート』でも“闇を抱えた役”を演じた山下智久
これまで山下が演じてきた人物は、『クロサギ』(TBS系)の黒崎や、『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~』(フジテレビ系)の上矢直輝など、多種多様で、幅広く、心の中に闇や傷を抱えて生きている人物が多い。特に闇を感じるシーンでは、山下が発する台詞は漆黒で、近寄りがたい存在に感じてしまう。目の前にいるはずなのに、どこか遠くにいるような……そんなイメージだ。 だが、そのキャラクターが困難に打ち勝とうとするとき、何かに情熱を傾けたとき、山下の言葉はグラデーションのように色が宿っていく。彼の演技は、演じるキャラクターだけではなく、物語に没入する視聴者すらも救う。山下の存在が心強くて胸が踊るのだ。 だからこそ、現在“喪失感”でいっぱいの晴原を、山下がどう演じるのか? 彼に前を向くきっかけをもらった優吾や早霧ら仲間たちが、彼をどう支えていくのか? が気になるところ。ようやく進み出したSDMすらも失いかけている晴原の葛藤が、第8話の見どころとなるだろう。 晴原の秘めたる想いは誰よりも熱く、誰よりもまっすぐだ。灯がこの世を去って5年。晴原は常に喪失感と戦いながら、人の命を救う活動にまい進してきたはず。彼女が遺したSDMをなくしてはならない。ここでくじけてはいけない。止まっていいはずがない。「きっと晴原なら乗り越えてくれるはず」と願っているが、果たして……。
浜瀬将樹