ヤングなでしこは世界で強いが、なでしこジャパンは8強止まり。世代別代表の成績がトップとリンクしない謎。先を見据えたメンバー選びやシステム選択は見直す必要がある【識者の見解】
19歳の谷川萌々子、18歳の古賀塔子
それと同時に、やはり2018年大会の優勝を経験した世代が、なでしこジャパンを引っ張る年代になってきていることも、今後に期待したい理由でもある。 昨年の女子W杯で得点王に輝いた宮澤ひなた(マンチェスター・ユナイテッド)をはじめ、植木理子(ウェストハム)、長野風花(リバプール)、林穂之香(エバートン)、南萌華(ローマ)、高橋はな(三菱重工浦和レッズレディース)が現在のなでしこジャパンの主力に定着しているが、A代表で世界と相手に戦っていくには、さらなる成長が問われる。海外組が増えたことは、国際経験や厳しい環境のなかでタフになっていく意味でプラスであるはず。 当時のチームを率いたのは、今夏のパリ五輪まで3年間、なでしこジャパンの指揮を執った池田太監督だった。世界一になったU-20女子W杯と同じく、良くも悪くも選手任せの色合いが強かった前体制の“高倉ジャパン”には見られなかった、コンパクトでコレクティブなサッカーを植え付けてパリ五輪に挑み、健闘はしたがベスト4以上には届かなかった。 戦術的な部分も含め、トップカテゴリーで日本がどういった戦い方を取っていけば、世界の舞台でも対抗していけるのか。そこに見合ったシステム選択や選手起用も見直していくことも大事だろう。 現在のクラブレベルで最高峰と見られるUEFA女子チャンピオンズリーグでは、本大会にFW浜野まいか所属のチェルシーがストレートイン。予選からは、司令塔の長谷川唯をはじめ、藤野あおば、清水梨紗、山下の4人が在籍するマンチェスター・シティのほか、キャプテン熊谷紗希と南を擁するローマ、北川ひかるが加入したスウェーデンのBKヘッケンが参加。また今回のヤングなでしこからは、天野紗が所属するハンマルビーIFがポルトガルの強豪ベンフィカを破れば、本戦の舞台を踏むことができる。 なでしこジャパンでパリ五輪に出場し、U-20女子W杯は招集外だった19歳の谷川萌々子(ローゼンゴード)や18歳の古賀塔子(フェイエノールト)が、本当の意味でなでしこジャパンの主力になっていくことも含めて、ブラジルで開催される2027年の女子W杯に向けては、競争の活性化を期待していきたい。 その中に、松窪真心(ノースカロライナ・カレッジ)、土方麻椰(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)、小山史乃観(ユールゴーデンIF)など、今回のU-20女子W杯を経験した選手たちが食いこんでいけるかどうか。さらには今回のヤングなでしこから外れた選手たち、WEリーグやなでしこリーグなどからの突き上げも期待して見守っていきたい。 文●河治良幸
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