町田瑠唯との2ガードで魅せる電光石火のトランジションオフェンス(Wリーグ・富士通レッドウェーブ 赤木里帆)
町田瑠唯のスピードに負けないように「走り出しの3歩を意識」
赤木は、アーリーエントリーから数えて4シーズン目。その間も常にプレーオフへ進出してきた富士通だが、その舞台に立ったのは3試合しかなく、出場時間はいずれも5分に満たない。5位通過となった昨シーズンは、セミクォーターファイナルの日立ハイテク クーガーズ戦に3分37秒出場したが、続くクォーターファイナルのENEOSサンフラワーズ戦は出番がなかった。今シーズンはケガ人に代わって大事な場面を経験させたテーブスヘッドコーチは「チームルールを徹底し、この週末はターンオーバーも少なかった。使い続けるしかないと思ってチャンスを与え、本当にステップアップしてくれた」と評価する。 ポイントガードの赤木だが、町田との2ガードではポジションがひとつ下がる。「瑠唯さんのボールプッシュがすごく速いので、富士通の持ち味であるトランジションオフェンスを出すために走り出しの3歩を意識し、先頭を走るようにしています」と2人が一緒に出ることで電光石火のオフェンスが繰り出される。最後のシャンソン戦では3ポイントシュートを積極的に8本放ち、3本成功させた。ポイントガードとして出たときは、仲間を活かすゲームコントロールを心がける。組み合わせによってさまざまなポジションを担う赤木に対し、「判断力向上」を指揮官は期待し、優勝へ向けた伸びしろでもある。 プレータイムに関係なく、「自分のやるべきことはディフェンスでプレッシャーをかけること。そのためにチームルームを徹底し、相手のやりたいことを簡単にさせないアグレッシブなディフェンスが求められています」と赤木は役割に徹し、経験浅いプレーオフでも変わらない。 「コートに出たときはチームに勢いを与えるためにも、まずはディフェンスからしっかりがんばっていきたいです。オフェンスでは、どんどんチームの先頭を走れるようにしたいです」 京王 presents Wリーグプレーオフ 2023-2024は3月30日より、高崎アリーナで開幕。最初の2日間は、一発勝負のセミクォーターファイナルとクォーターファイナルが行われる。1位通過した富士通と2位のデンソー アイリスは、武蔵野の森総合スポーツプラザに舞台を移した4月6日のセミファイナル(3戦2先勝方式)から登場。次の試合まで20日ほど空くため、「相手が分からないので準備はしない。まずはしっかり休ませて、先のことは全然考えていない」とテーブスヘッドコーチは言及する。裏返せば、自分たちのスタイルを突き詰めるだけであり、今シーズンは共通認識ができていることを強調していた。 5位シャンソンは、8位アイシン ウィングスとのセミクォーターファイナルからプレーオフに挑む。「目の前の試合にベストを尽くそう」と鵜澤潤ヘッドコーチは、常にチャレンジャー精神を心がけてきた。イゾジェ・ウチェは平均18.2点でリーグ2位。リバウンド13.2本、ブロックショット2.3本、66.8%のシュート成功率はいずれもトップに立った。「高校卒業したばかりのルーキーで、あれだけ活躍してくれればやっぱりすごい」と鵜澤ヘッドコーチは目を細めつつ、さらなる可能性を広げていく。鷹のはしや白崎みなみら移籍組がフィットし、富士通戦では山本美空が3ポイントシュートを決めて存在感を示していた。橋口樹や知名祐里ら若手も台頭しており、チームに厚みが増している。富士通には2連敗したが、クォーターファイナルで待つ4位のトヨタ自動車をはじめ、上位チームとは1勝できたことも自信になっている。「ゲームをしながら成長していくチーム」という鵜澤ヘッドコーチは、初戦から臨むプレーオフをプラスに捉えていた。
泉誠一