FRB当局者、利下げ急ぐ必要ないと強調-地区連銀総裁が相次ぎ発言
(ブルームバーグ): 米ボストン連銀のコリンズ総裁やサンフランシスコ連銀のデーリー総裁ら12日に発言した米金融当局者は、インフレ高止まりや底堅い労働市場に言及し、利下げを急ぐ必要性はないと強調した。
このほか、アトランタ連銀のボスティック総裁は年末にかけて年内に1回の利下げがあるとの見通しを重ねて示し、カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は利下げへの「忍耐強い」姿勢が望ましいと述べた。
デーリー総裁はサンフランシスコでのイベントで、「私見では金利調整の緊急性は一切ない」とし、「政策は現在、良い位置にあり、利下げを検討する前に、インフレ率が当局の物価安定の定義である2%に低下する軌道にあると十分に確信する必要がある」と語った。
シュミッド総裁も、先手を打って政策を調整するよりも、金融当局として利下げの前にはインフレ率が2%に回帰するとの「明確で説得力ある」証拠を待つべきだとの考えを示した。
シュミッド氏はカンザス州オーバーランドパークで講演し、「インフレ率が目標を上回って推移し、経済成長が引き続き勢いを示し、さまざまな資産市場で価格が高水準にある中で、現在の金融政策のスタンスは適切だ」とコメントした。
さらに、このところの物価上昇圧力はタイトな労働市場に支えられたサービスセクターに集中しているとし、金融当局が物価安定を達成するには労働力需給の改善が必要となる公算が大きいと論じた。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長ら当局者は、インフレ率が2%の当局目標に向けて持続的に鈍化していると十分確信できるまで、利下げ開始は望まないと表明。主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを昨年7月以降、二十数年ぶりの高水準に据え置いている。
失望すべきデータ
最近発表されたインフレ指標は期待された数値を上回っている。3月の消費者物価指数(CPI)のうち、変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.4%上昇、前年同月比3.8%上昇と、2月と同じ伸びとなった。