打率3割、20本、10勝、20セーブ...達成が難しいのは?
キャンプインから2週間が経過したプロ野球、週末には早くもオープン戦が始まりいよいよ本格的に野球のシーズンが到来する。ファンにとってこの時期に最も気になるのは、期待の選手や贔屓の選手が今年はどのくらいの成績を残せるのか?ということ。そしてそういった話題で使われるのが「3割」や「10勝」といったいわゆる「キリの良い数字」だ。「打者は3割、投手は10勝で一流」といった言葉もあるように、3割や10勝、20本塁打のようなキリのいい数字はそこを超えることが「野球選手としての成功」を意味する面がある。そこで今回は野手の3割、20本塁打、20盗塁、投手の10勝、20セーブ、20ホールドポイントを達成することがどのくらい「難しい」ことなのかを調査した。 調査は2000年以降のドラフトで入団した選手を対象とし、どのくらいの選手がそれぞれの記録を達成しているのかを「達成率」として算出した。対象となった選手数は表1の通り。2000年以降のドラフトで入団した選手は育成選手も含めると投手が729人、野手が617人で、投手、野手ともこの人数が達成率の分母となっている。ではここからは達成率の高い、つまり達成がわりあい容易な記録から順に紹介していきたい。
難易度:低 野手の3割、投手の20HP(ホールドポイント)
野手の3部門のなかでは打率3割、投手では20HPを達成した選手が最も多いという結果になった(表2)。達成率は3割が43人で7.0%、20HPが72人で9.9%となっている。HPは2005年に制定された新しい記録にも関わらず今回の6部門の中では最多の選手が達成している。これはセーブや勝利投手と違って1試合で複数の選手が記録することができるという点が大きいだろう。基準を30HPとすると達成者は14人、達成率は1.9%に激減するので25HP程度がほかの部門と同程度の難易度となるのかもしれない。
達成者数を入団したチーム別にみてみると3割打者を最も輩出しているのはヤクルトで6人、HPは中日と日本ハムの9人だった。ヤクルトは2000年指名の畠山を皮切りに、2002年の雄平、2003年の青木(現マリナーズ)、2004年の田中浩、2005年の川端、2010年の山田と定期的に主力野手となった野手が登場していて野手の輩出力という点では12球団屈指といえるだろう。 HPでトップだった中日はなんといっても岩瀬の存在が大きい。この間10年以上にわたって不動のクローザーとして君臨していたため、クローザー級の実力を持った投手たちが次々とセットアッパーとして起用されHPを稼いできた結果が最多の9人という数字につながった。日本ハムは2001年からの9年間で指名した選手の中から8人も20HPの達成者が生まれた。毎年のように有能な中継ぎ投手を発掘するスカウト力には目を見張るものがある。 逆に達成者が少なかったのが野手では中日とオリックス、投手は楽天、西武といったチーム。3割達成者が2人だけの中日とオリックスはともに他球団移籍後に3割を達成した鉄平(中日→楽天)と平野恵(オリックス→阪神)を含むため、自チームでの達成者は大島と後藤(現楽天)だけだ。