俳優・弓削智久【2】初めて脚本を書いた映画の現場ではスタッフ兼任!“燃え尽き症候群”に
■初めて脚本、主演の作品が海外の映画祭で「最優秀外国語映画賞」受賞!
映画「サクゴエ」の撮影では、衣装や車の運転をすることもあり、自主映画の現場のようだったという。 「『サクゴエ』は、毎日打ち合わせをして17回ぐらい書き直して。予算もなかったので自分の車を出して衣装管理もしていました。衣装さんを毎日現場につけるとギャラがどんどん上がっていっちゃうから、W主演なんですけど(衣装合わせで決まった衣装を)自分の車に積んで、自分で管理して。 衣装に番号を振って、出てくれる役者さんには『これ着てください』って渡したり、移動車も僕の運転で役者さんを乗せたりしていたので、自主制作の感じでしたね。ちょうどその時黒い車に乗っていたので、(劇中の)覆面パトカーも実は僕の車だったり(笑)。そういう感じで1本作ったら、もうこれ以上書きたいものがなくなっちゃったんですよ、本当に。 自分の(脚)本で何とかというのは、あまり思わなくなったんです。役者の方が…というのもありますけど、書きたいことがなくなっちゃったんですよ。『サクゴエ』が終わったあと、ぽっかり穴が開いたみたいになって。 あまり知られてないですけど、アメリカ・カリフォルニアで行われていた『Gone With The Film Festival』で最優秀外国語映画賞をもらったんですよ。僕はカリフォルニアに行ってないですけど、トロフィーだけ送られてきて。普通は監督がトロフィーをもらうものなんですけど、『トロフィーは弓削くんに』って言ってくれて今も家にあります。 でも、何かもっと騒ぎになるのかなって勝手に想像して過度な期待をしていたら、そういうこともなく…。だから、結構人生を考え直した時期ではありましたね。やりきった感がありました」 ――“燃えつき症候群”みたいな感じでしょうか 「そうかもしれないです。スタッフみたいなことも一生懸命やって作って完成したという段階で。だからやっぱり継続するってすごいなと思います。でも、もし賞とかが獲れてなかったらどうだったかな…と。 今でもちょっと書いていますけど、完成して人に見せるということは、今はあまりないですね。時代も変わっちゃったので、映画でやる意味はあるのかなとか…そういうことを考えてしまいます」 ――コロナウィルスの影響もありますか? 「コロナは、自分自身に変化があって、コロナの時期から体を鍛え始めました。何かこのままだと大変なことになりそうだって思って。それで、今は結構筋トレが趣味だったりします」 ――「スラッカーズ 傷だらけの友情」(渡邊貴文監督)では野球など、スポーツを題材とした作品にも結構出演されていますね 「そうなんですけど、本格的なトレーニングというのはしてなくて。腕立て伏せとか、自分でできるトレーニングはずっとやっていましたけど、今は体重を変えずに筋肉は増やして、脂肪を減らして…みたいな。筋トレを始めて4年ぐらいなんですけど、韓国の俳優とかはすごいじゃないですか。カッコいいなと思って」 ――そうですよね。大胸筋とか上腕二頭筋とかすごく綺麗になっていますよね 「そう。大胸筋と上腕二頭筋も結構鍛えています。娘が生まれて結構意識が変わりましたね」 ――2013年にご結婚されて、4歳のお嬢さんと1歳の息子さんのパパですが、弓削さんのお仕事のことはわかっているのですか? 「何か特殊な仕事をしている人だという印象は少しあるかもしれないです。出演作品は全然見せてないですけど。『仮面ライダー』とかを見せるとやっぱりちょっと困惑しちゃうと思うので。前に友だちの子どもが今のうちの娘と同じ4歳ぐらいの時に(ライダーに)変身して見せたんですけど、それから僕のことを結構リスペクトするようになって(笑)。 でも、その感覚って娘に対していらないなと思うので、娘には見せてないです。何か大変なことが起きた時に『早く変身してよ!』とか言われても嫌ですから(笑)。だから、もっと普通でいいのかなっていうのはあります」 ――4歳だと幼稚園ですか。『パパ、カッコいい』って自慢なのでは? 「いや、周りのお父さんお母さんは結構若い子が多いのでね。僕は44なので結構上の方なんですよ。だからそういうのもあって、体を鍛えておいた方がいいなみたいなのはありますね」 ――インスタなどのお写真を拝見すると、筋肉がすごいことになっていますね 「ちょっとハマり症なんで、ハマっちゃったんです(笑)。それこそ10代とか20代はクラブでDJをやったりしていたので、不健康そうな感じの役が多かったです。当時は人生を通してみても特殊な、人間として未完成な時期で、でも危うさとか凶気とかが悪役にハマったんですけど、30代、40代、50代で不健康そうだと本当に病気じゃないかと心配されちゃうだけなので(笑)」 ――影のある役が結構多かったですよね。ミステリアスな雰囲気が合っていました 「そうですね。あまり健康そうにバキバキに鍛えてない方がよかったですね。でも、別の自分を見てみたいなって思うようになって。自分次第で来る役が変わったりするんだって。痩せることはできるけど、1カ月後にムキムキになってくださいというのはできないと思うんですよ。 なので、いい位置に自分を置いておいて、どっちにも振れるようになりたいと思っていて。 より健康というのが自分的にもいいし…という感じですかね。 筋トレをやり始めてから体調がめちゃくちゃいいんです。多分今が一番体力もあると思います。昔は話している途中で寝ちゃう時もあったりしたんですけど、そういうこともなくなりました(笑)」 現在の体脂肪は13%ぐらいだというからアスリートの雰囲気。次回は、「仮面ライダー龍騎」で共演した須賀貴匡さん主演で監督業に挑戦した短編映画「FREE」の撮影に密着したドキュメンタリー映画「バカは2回海を渡る」(渡邊貴文監督)の撮影エピソード、12月14日(土)に公開される映画「きみといた世界」も紹介。(津島令子)
テレビ朝日