U-23日本代表、10人の窮地救ったGK小久保玲央ブライアン。鋭敏で豪放な男の見せた細やかさ
パリ五輪アジア最終予選を兼ねて開催されるAFC U-23アジアカップ カタール2024。16日に初戦を迎えたU-23日本代表は、U-23中国代表と対戦した。【取材・文=川端暁彦】 【ゴール動画】U-23日本 vs U-23中国|松木ボレーが決勝点! 試合は開始8分にMF松木玖生(FC東京)の得点で先制したが、17分にDF西尾隆矢(セレッソ大阪)がレッドカードで退場。いきなりの劣勢を強いられることとなった。 チームの最後尾を預かるGK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)は、その退場を「サッカーではあり得ること」とした上で、「彼(西尾隆矢)のために戦うというのは、みんなの頭の中にあったと思う」と言う。 数的不利を強いられたことで、前日に話した「日本が主導権を握る展開になる」(小久保)という見立てとは真逆の劣勢になったものの、要所で好守を連発。試合運びにも抜け目なく寄与して、1-0の完封勝利の立役者となった。
生粋のムードメーカー
小久保はこのチームのムードメーカーだ。早生まれでメンバー入りしている最年長組だが、誰彼構わずにフランクに接し、いわゆる「イジり役」と「イジられ役」の両方になれる稀少なタイプ。ピエロに回ることも多いが、基本的には気遣いの人でもある。 「初招集の選手とか初めて顔を合わす選手が馴染みやすいように」と、小久保が代表チームへ持ち込んだ“人狼ゲーム”も、すっかり恒例行事に。中国戦の3日前にも心理戦になるこのゲームに興じ、大いに盛り上げたという。 メンバーから外れた選手、試合に出られない選手の話をすることも多く、前日には「馬場晴也(札幌)もこの前(3月の試合)良いプレーをしていたけれど、外れることになった。ミーティングではこれまで86人が呼ばれてきたという話もあったけれど、(今大会に選ばれなかった)63人のために戦いたいと思う」と語っていた。 中国戦後も先発GKとしての素晴らしいパフォーマンスを称賛されると、すぐに「(ベンチに回った他のGK)2人が出ても同じように良いプレーができるんで」と強調し、「GKグループとして、どんどん上に行けたらいい」とサラリと嫌味なく言ってみせた。