真の『大宮とは?』を構築できるか。ビジョンなき凋落、J3降格圏は“順当”な結果。大低迷からの脱却は決して簡単ではない
『大宮とは?』のビジョンなく、年々チームは脆弱に
「クラブ創設25周年という節目の年、本気の覚悟を見せてくれ」 1月9日の初練習でサポーターが掲げた横断幕の文言で、その願いは実ることはなかった。 【PHOTO】アウェー清水に駆けつけ最後まで声援を送り続けた、大宮アルディージャサポーター! 東京Vとの最終節を前に、J3降格圏の21位が決定していた大宮。かつてJ1で5位になったこともあるチームの大低迷。それでも最終節は今季の集大成を見ようとチケットは完売御礼。入場者1万875人のうち3000人ほどはアウェーサポーターではあるが、J1自動昇格を争う相手にプライドを懸けた姿を見ようと集まった。 なんとか意地を見せたいところで前半はチャンスを多く作り、シュート数も上回った。だが、決め切れずに後半に入り、63分に先制点を奪われると覇気はしぼむ。78分にも追加点を許して万事休す。今季にありがちな敗戦パターンで3連敗となって幕を閉じた。 今シーズンは11勝6分25敗の勝点39で終わった。昨季から続投の相馬直樹監督は継続が強みだったはずが序盤から波に乗り切れず、6連敗するなどして第16節のいわき戦で最下位に転落。成績の低迷により相馬監督は解任され、ヘッドコーチだった原崎政人監督が後を受けた。 原崎監督も就任早々に6連敗と苦しみ、浮上のきっかけを掴めないまま終盤戦に突入。第36節の徳島戦から4連勝を飾ってあがいたものの、21位が精いっぱい。37得点はリーグワーストタイ、71失点は2番目に多い数字で、結果は必然だった。 ただ、残念ながらこれは“順当”と言える。2度目のJ2降格初年度の2018年は5位、19年は3位でそれぞれJ1昇格プレーオフに進出できた。しかし、20年は15位、2021年は16位、22年は19位と順位は下がっていく一方。それでも、大型補強は見られなかった。 一桁順位の頃は、まだ勢いがあった。18年は大前元紀がJ2得点王になり、菊地光将や河本裕之ら守備のタレントも所属。19年もフアンマ・デルガドが13ゴールを、J1クラスの選手たちも揃っていた。ちなみに20年以降は二桁得点の選手はいない。 年々、チームは脆弱になっていった。残留争いした過去2年はかろうじてJ3降格圏を回避できたが、火種はくすぶっていた。“見通しの甘さ”が積み重なり、ツケは今季に噴出。この大低迷はクラブに『大宮とは?』というビジョンのないことが要因と言える。
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