【自民党総裁選】劣勢の小泉進次郎氏、麻生太郎氏へ捨て身のお願いで「大どんでん返し」か
ここで最大のキーマンに浮上したのが、青色吐息と思われていた麻生太郎副総裁。自身は麻生派の河野太郎氏を応援し、義弟の鈴木俊一財務大臣は上川陽子氏を応援していますが、2人とも決戦投票にはほど遠い。2012年の自民党政権復帰以来、安倍晋三・菅義偉政権では副総理兼財務大臣、岸田文雄政権では自民党総裁に次ぐ副総裁、12年も政権の中枢の座にありました。 それはひとえに「キング」つまり総理の生みの親である「キングメーカー」であったから。裏を返せば、押した候補を「総裁選で勝たす」のが絶対条件。菅義偉前総理が後見となり付け入る隙の無い小泉氏、ましてや仲の悪い石破氏には乗れない。今回、高市氏を決選投票に押し上げ、そこでの逆転に望みを託すしかなくなりました。 岸田文雄政権の根幹は、総理の兄貴分である麻生氏そして麻生氏が引き入れた茂木敏充幹事長の「三頭政治」で行われてきました。政権運営が行き詰まるにつれ、この3人の間に距離ができてしまいました。しかしこの3年間、手を携えてきたのは事実。この土壇場で麻生氏が、岸田氏と茂木氏に「やっぱり、あんた達しかいねえ。もう一回一緒にやってくんねえか」と同盟をもちかける。今ひとたび「三頭政治」を復活させれば、高市氏を「クイーン」に押し上げるには十分、キャスティングボートを握れます。 保守の巨頭安倍晋三元総理という後ろ盾を亡くした高市氏にしてみれば、議員票の拡がりが薄いのが最大の弱点。安倍氏の兄貴分であった麻生氏に「安倍政治の正統な継承者」として認めてもらい、活路を見出したい。当初劣勢であった高市氏は、得意の政策論争で党員の心に刺さり、議員票の大きな塊さえ乗れば総理の座に手が届くところまできました。 党員投票が始まってこのかた、小泉氏は眠れぬ日を送ってきました。前回の総裁選、岸田候補の出馬により、菅総理は不出馬に追い込まれ、丸3年間も冷や飯暮らしを強いられました。菅氏の寵愛を受けてきた小泉氏も、一連托生で窓際に追いやられた。本来プリンスとして熟成栽培中の小泉氏の急な出馬を菅氏が求め、勢いそのままに「政権中枢」の奪還を目の前としました。しかし、重要閣僚や党三役といったキャリアを積む前の43歳での電撃的出馬があだとなり、よもやの決戦投票前の敗退という悪夢が現実化しそうです。また不遇をかこつぐらいなら、一時の恥を忍んででも…。 そこで冒頭のように、自分を追い落としかけていた相手方の大将麻生氏に「助けを求める究極の一手に出ました。それも恥を忍んであえて報道陣にそれとなく知られる形をとった。政界のプリンスとして常に世間にもてはやされた男が、ここまで身を屈するのは並の度胸でできるものではない。