23日に中尾歌舞伎秋季公演 初舞台の若手も 長野県伊那市
長野県伊那市の無形民俗文化財「中尾歌舞伎」を伝える中尾歌舞伎保存会は23日午後1時30分から「伊那ロータリークラブ地区補助金事業 中尾歌舞伎秋季公演」を同市長谷の中尾座で開く。演目は「義経千本桜 鮨屋の段」。源平合戦の時代を背景に平家の逃亡者を巡って葛藤する家族の物語で、メンバーは本番に向けて稽古に打ち込んでいる。入場無料。事前申し込み制で先着100人。 中尾歌舞伎は江戸時代に始まり、戦中から戦後にかけて途絶えたものの住民らが復活させた。現在は同市を中心に小学生から70代まで35人余りが活動している。今回は伊那ロータリークラブが共催し、地域で文化活動などを継続している団体への応援事業として支える。 物語は戦いに敗れた平家の平惟盛が下男に身をやつして暮らす鮨屋が舞台。鮨屋の息子「いがみの権太」は勘当された身にもかかわらず母親をだまして金を持ち出そうとするが、そのさ中に惟盛の追手たちが同家に近づいていることが伝わり、事態は思わぬ方向に進んでいく。 追っ手の家来を演じる森嶋和也さん(41)=辰野町=は今回が初舞台。市民劇団に所属していて芝居仲間の誘いを受けて参加した。「いろんなことを学ばせていただきながら一生懸命に取り組みたい」と意気込む。同じく初舞台の熊木奈美さん(26)=同市=は惟盛の妻など一人二役。「発声や動作は日本伝統のものでなじみづらいところもあったが、一生懸命やらせていただいている」と話している。 中村徳彦代表(65)は「復活してからの歴史があるので、しっかりやっていきたい」とし、新しい若手演者の活躍にも期待を寄せた。 問い合わせは同会事務局(電話090・2450・6110)へ。