ヤン・リーピン監督、外国人が日本で映画を撮る難しさを語る【第37回東京国際映画祭】
第37回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部門に選出された「雲ゆくままに」が10月29日、TOHOシネマズ日比谷で上映され、監督・脚本を務めたヤン・リーピン、浪瀬聡太プロデューサー、出演者のマン・カナ、松㟢翔平、入江崇史、渡辺超が舞台挨拶に登壇した。 【写真たくさん】米倉涼子はオフショルドレスで美デコルテ披露 東京国際映画祭レッドカーペットの様子 本作は、2023年東京国際映画祭でAmazon Prime Video テイクワン賞を受賞したヤン監督が描いた人間物語。彼氏と親友の浮気現場に遭遇した留学生の美麗、男との関係を知られ薬物に溺れる写真家の夢二、ビザ取得に苦しみ工場で働く技能実習生の陸離、同じ工場で働くも母と仕事を失った老人の岩井という4人の激動の数日間を活写する。 昨年行われた第36回東京国際映画祭で、「Gone with the wind」により「Amazon Prime Video テイクワン賞」を受賞したヤン監督。本作は東京藝術大学大学院の修了制作として作れたが、撮影期間は撮休2日間を含む2週間、撮影時間は1日8時間以内、予算は美術を含めて200万円というルールがあった。 ヤン監督は「初めての長編作品ですが、時間と予算のやりくりが大変でした」と語ると、浪瀬プロデューサーは「監督は自分のやりたいことがはっきりしているので、尊重しながらどう実現できるのか考えてやりました」と撮影を振り返る。 本作でヤン監督は脚本も担当している。4人の人物を中心にした群像劇を作り上げたが「執筆には1カ月ぐらいしかなかった」と語ると「岩井役はフィクションでしたが、それ以外は周りにいた人たちをモデルに書きました。僕は群像劇が好きなんです」と説明。執筆は日本語で書く場合と、中国語で書いてから日本語に翻訳する場合もあるという。「今回は中国人のキャラクターが多いので、中国語で書いたものを翻訳して、みんなでセリフをスムーズにしていく作業を行いました」と語っていた。 初の長編監督となるが、入江は「ヤン監督はとても飄々としていて、焦ったり迷ったりすることはほとんどなかった。カリカリしているところもない」と現場では泰然としていたことを明かすと「静かで言葉では説明しない方なのですが、何を望んでいるのかが嗅ぎとりやすい人。すごくいいセンスをしていると思います」と称賛する。 日本と中国での映画製作についてヤン監督は「日本の方が表現の自由度は高いですが、留学生という立場でいうと、日本で映画を撮るのはとても大変。お金もないしスタッフを集めるのもとてもしんどい」と語ると「僕は外国人監督というカテゴライズになりますが、この作品は間違いなく日本映画です。この映画が広く知られるように、皆さんの支援をお願いします」と客席に呼びかけていた。 第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。