「新人2人の起用はできなくなった」今季退任のトスト代表、今のF1は若手ドライバーにとって順応が難しいと憂慮|F1
アルファタウリの代表職を退任するフランツ・トスト氏が、現在のF1及びアルファタウリのあり方について、若手2人を据えることは不可能になったと主張した。 ●【F1™|ハイライト】F1™2023最終戦 エティハド航空・アブダビGP 決勝|2023 2023年限りで同チームの代表職を退くトスト氏に対し『F1』のプレゼンター、ローレンス・バレット氏が直撃。名伯楽は「状況は変わったんだ」と、自チームがもはやレッドブルジュニアの登竜門的なレースチームではなくなってきたと示唆している。 「以前はルーキー2人を起用してシーズンをスタートさせることもあった。でも今では、それができなくなってしまったんだ」 「F1は技術面でもドライビング面でも有しておくべきスキルが多岐にわたり、非常にレベルが高くなった。もしそれを十分に満たさず走ったら、すぐさまチャンピオンシップ最下位に直結する」 「今のF1界には“マシンを運転する資格がない”と言えるような人はいない。みんなレベルがとても高い。ドライバーを教育するには多くのプライベートテストを実施する必要がある」 2023年マクラーレンのレギュラードライバーとなったオスカー・ピアストリは、レースによっては僚友ランド・ノリスを上回る場面も散見され、ルーキーらしからぬ潜在能力を見せた。トスト氏は、前年アルピーヌのリザーブで経験を積んだことがマクラーレンでの躍進に直結したとの見解を示している。 「アルピーヌがピアストリに対して(2022年に)行ったことは正しいやり方だった。彼はリザーブでありながら年間4000~5000kmを走ったので、F1のスピードと車自体に慣れていたんだ。レギュラードライバーになっての初年度は、彼はバーレーン以外多くの知らないコースでレースをしていたことになるね」 「スプリントフォーマットも若手にとっては酷だろう。予選セッションまでに実質使える時間は(FP1度のみの)1時間しかない。これでは若いドライバーが未知のトラックに順応するのは難しいんだ」
2023年アルファタウリは2019年のF2王者ニック・デ・フリースをレギュラードライバーに採用。だが3年目の角田裕毅と比較してなかなか成果を挙げられない状況から、ハンガリーGP直前に契約解除する運びに。8度優勝経験を持つ34歳のベテラン、ダニエル・リカルドをその後釜に据えた。 10チームしかない現在のF1では、F2など下部カテゴリーで実力を示しても、なかなかシートを得られない。そして経験の少ないドライバーに対してじっくり教育する時間も十分にないことから、若手をすぐさま見限るケースも多い。当事者として現場を見続けてきたトスト氏は、この状況を憂慮しているようだ。
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