角田裕毅との来季の契約延長をRBが急いだわけ…異例の早期決着の影にあったアウディの思惑《2年後の選択肢は?》
ポジティブな選択
今回、角田とRBとの契約が25年末までの単年ということを危惧する声も聞かれるが、ホンダとレッドブルのパートナーシップもまた25年末で切れる。26年からフリーエージェントとなる角田はレッドブル系のチームに残ることもできれば、ホンダが26年から新しくパートナーを組むアストンマーティンに移籍する選択肢もあり得る。さらに、ホンダとレッドブルという育ての親から独立して新しい道を開拓することも可能であり、この単年契約はむしろポジティブだととらえたい。 角田は次のようにコメントしている。 「レッドブルとホンダは常に僕のキャリアの一部だった。ホンダがレッドブルとパートナーを組む最後の年に、彼らと一緒に戦えることは僕の中でとても大きかったので、それが実現できて良かった。このビッグプロジェクトでチームをサポートできることをとてもうれしく思います」 今回の契約は、日本のモータースポーツ界にとっても大きな意味を持つ。 カナダGP終了時点で、角田のF1参戦数は75となった。これは片山右京の97戦、佐藤琢磨の92戦、鈴木亜久里の88戦、中嶋悟の80戦、小林可夢偉の76戦に次いで、日本人F1ドライバーでは6番目に多い数字となる。今年、最終戦まで参戦すれば、その数は90戦で3番目となる。さらに来季の24戦を戦い抜けば114戦となり、ついに日本人最多となる。 21年に日本人F1ドライバーの最年少デビュー記録を塗り替え、20歳10カ月でF1にデビューした角田。5年目のシーズンとなる25年は、日本人ドライバーが誰も到達していない地平が広がっている。
(「F1ピットストップ」尾張正博 = 文)
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